暑すぎて「北向き」物件が注目される日本、同じく酷暑でもヨーロッパで「南向き」が好まれるワケ
長らく日本の住宅市場では「南向き=日当たり良好」が理想とされてきました。冬は暖かく、洗濯物もよく乾くため、南向きは快適さの象徴でした。ところが近年、猛暑を受けて北向きの物件を選ぶ人が増えていると聞きますが、同じく猛暑のヨーロッパではどうなっているのでしょうか?
2025年9月17日 21時25分 All About
夏日って
先ほど目にした情報に、気温25°C以上で夏日というとことが書かれていました。ちょっと違和感を感じてしまったのですが、25°Cって今の私たちにとっては秋や春のイメージになっていませんか?
そのくらい今年の夏で体感や常識、または基準が塗り替えられたように思いますが、環境対応力や適応力の優れた人の間では、南向きの部屋を避けて北向きへの移動が始まっているようです。
日本|猛暑が変える「理想」の方角
記事によれば、夏の暑さが年々厳しくなる日本では、南向きの直射日光がむしろ負担となっています。湿度の高さも相まって、南向きの部屋は灼熱(しゃくねつ)のサウナと化し、冷房なしでは過ごせません。
その一方で、北向きの部屋は直射日光を受けず、室温が安定しやすくなっています。読書や在宅ワークに向いた柔らかい光が得られ、家具やカーテンが焼けにくいのも利点です。従来は「安いから選ばれる」と思われていた北向き物件が、現在では「快適に暮らすための選択肢」として再評価されつつあります。と書かれていました。
現実と思い込み
実は建築の勉強をされた方なら常識というか、共通のセオリーとして子供部屋は北向きが理想的とか、集中力を要する作業や大切なモノの保管などでは、北向きのお部屋が適しているということが共通認識とされています。
ただ、日本人の記憶に刷り込まれている風景が、南側の大きな窓や縁側というもので、この昭和以前の住まいづくりで常識とされていた古い情報に固執してしまっている方もいらっしゃいますので、この点は大変残念です。
中欧~北欧|太陽は貴重な資源
次に書かれていたのは、対照的に、中ヨーロッパから北ヨーロッパでは南向き物件が根強い人気を誇ります。筆者の経験では、夏がわずか2週間で終わってしまった年もあり、日本よりもずっと冬が長く日照時間が短い中欧より北の地域では、太陽光はいまだに暖房の補助となり、精神的な活力でもあります。とのこと。
これはこれで当然のことですし、北極に近い地域では圧倒的に夏が短く長く厳しい冬の地域での生活の知恵として、正当な進化と言えるのではないでしょうか。
南欧|太陽を楽しむ文化
一方で欧州でも南フランス、スペイン、イタリアなど暑さの厳しい南ヨーロッパでも、基本的には南向き志向が強いといえます。地中海沿岸の文化では太陽を浴びることが幸福や健康の象徴とされており、南向きのテラスやバルコニーで食事をしたり、寝椅子でくつろぐなど、太陽のもとで過ごすことが生活の中心となっています。とのこと。
ただし、夏の焼けつくような日差しは日本とは比べものにならないほど強烈です。そのため、建物の間の路地を狭くして日陰を作ったり、シェードやシャッターで直射日光を調節したりと、都市全体で暑さに対処する工夫が発達しています。とありました。
確かに、同じ欧州でも南側では、今年も熱波による山火事がニュースになっていましたし、確か気温も6月で46°Cを記録していましたので、こちらは日本よりも過酷な状況となっているようでした。
さらに、真昼の強い日差しの時間帯をシエスタ(昼休憩)で回避するのも、まさに生活の知恵といえるでしょう。近年は猛暑の影響から「真南よりも少しずらした方角」が選ばれるケースも増えていると聞きますが、依然として南向きは市場価値が高いようです。と書かれていました。
気候と建物の素材で体感温度が変わる
さらに記事にあったのは、ヨーロッパでいまだに南向きが好まれている要因に、建築素材と気候の違いが挙げられます。ということです。
温暖湿潤気候の日本では日なたと日陰、日中と夜間の気温差はあまり激しくありません。しかしヨーロッパは湿度が低いため、石造りで壁が厚い伝統的な住居では、屋内に入ったり日が沈むだけで体感温度が大きく下がります。実際に、教会や古い建物に入ると真夏の日中でもひんやりと感じるのはこのためです。と書かれていました。
芸術の場では北からの光が理想
一方で、芸術の分野になるとヨーロッパでも北向きが重宝されます。北からの光は色温度が安定し、影も柔らかいため、絵画制作や美術鑑賞に理想的であるようです。かつて名だたる画家たちが集ったパリ・モンマルトルのアトリエ「洗濯船」には北向きの天窓があり、ピカソもその光のもとで名画『アヴィニョンの娘たち』を描きました。ということです。
実際に北向きのお部屋をご提案させていただいたOBオーナー様では、子ども部屋や書斎の評判も大変良いようで、気に入ってもらえてるようです。
これからの日本の住宅を考えますと、南側の大きな窓よりも北側に向いたお部屋の方が価値が高くなってくることが考えられますね。