首都直下地震の被害を6割減らす方法…耐震化・家具固定・感震ブレーカーの普及を急げ
中央防災会議の下に設置された「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」は12月19日、首都直下地震の新たな被害想定を公表した。
2025年12月19日 11時0分 FNNプライムオンライン
首都直下地震の被害想定
本日19日、直下地震の被害想定が12年ぶりに更新され、公表されました。全体としては想定の死者数は減少したものの、10年間で半減するとした目標は達成できませんでした。残念。
記事によれば、政府は2013年に発表した首都直下地震の被害想定を見直し報告書を公表しました。被害は、東京23区の南部でマグニチュード7.3の地震が発生したケースを想定していて、江東区などで震度7になります。
冬の午後6時に風速8メートルの気象条件で都心南部直下地震が発生し、震度7の揺れが東京・神奈川を中心に直撃する想定では、全壊・焼失が約40万2千棟で、このうち地震火災による焼失が約26万8千棟を占め、東京23区と神奈川県の木造密集地での延焼が際立つ結果となった。とのこと。
そして、人的被害は、建物倒壊等による死者約5300人、火災による死者約1万2000人、その他の要因を合わせ、死者総数は約1万8000人に達するとされる。そうです。
感震ブレーカー
こうした被害を少しでも抑えるため、政府は様々な対策を呼びかけています。
いつもご紹介している感震ブレーカーは、一定以上の揺れを感知すると自動的に電気を遮断し、倒れた家電や損傷した配線からの出火を防ぐ装置ですね。
政府が公表した報告書「首都直下地震の被害想定と対策について」では、「感震ブレーカー」が火災による犠牲を大幅に減らす対策として指摘されていました。
記事によれば、想定のうち最悪のケース「冬・午後6時・風速8メートル」の条件では、火災によって、約26万8千棟が焼失し、約1万2千人が死亡すると推計されている。出火原因の多くが電気設備を起点とするものだと分析されている。
効果抜群
ところが、感震ブレーカーの設置率を50%に高めた場合、焼失棟数は約19万3千棟、死者は約8700人に減少。
設置率100%では焼失棟数が約7万4千棟、死者は約3400人にまで抑えられるとの試算が示された。火災による犠牲を約7割減にできる計算だ。とありました。
残念な設置率
ところがです。こうした効果が明確でありながら、首都近郊(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、群馬、静岡)での設置率は約20%にとどまる。とのこと。
そんなに有効な設備なら、すぐにでも義務化にしてしまえば良いと思うんですけど。住宅用火災警報器の時もそうでしたが、決めてしまえばあとは民間のコストで普及していくように思いますが、既存住宅に関しては補助金等で設置を後押しするのが良いでしょう。
多層防御
報告書は、「揺れに耐える建物」「倒れてこない家具」「燃え広がらない電気火災」「動き続ける組織」という多層防御を社会全体で実現することを提案していました。
ところが、別の報道によると、小池知事がこの被害想定について、電力供給力の算定に10年前のデータを使用しているなどと指摘し、実態に即していない被害想定では自治体が必要な対策を講じることはできないとの考えを示していましたし、今回の想定には各地のタワマンが除外されているそうですので、実施はもっと大きな被害になってしまうかもしれません。
都市に必要な建物は、倒れない、燃えない、揺れが少ない家ということなんです。
是非ご検討ください。






