中野サンプラザ跡61階ビル、完成延期に 建設費900億円上ぶれか
東京都中野区で昨年7月に閉館した「中野サンプラザ」跡地に建設予定の高層ビルなどについて、計画していた2029年度中の完成が困難になっていることがわかった。
建設費の上ぶれが原因。今年度に予定していた着工も見通しが立たなくなっていて、事業自体が見直される可能性も出てきた。
2024年9月25日 15時22分 朝日新聞デジタル
建築費の高騰続く
一般の方にはなかなかご理解頂けないかもしれませんが、今の日本では全国的に同様の話が散見しているのが現実なんです。
今日作成したお見積は、その有効期限を30日とさせていただいていますが、それでも1ヶ月後には施工原価が上昇していますので、半年後では2割以上もコストアップしている場合もあったりしますし、なおも日々変動しています。
この状況は、発注者側の人達にとってももちろんデメリットでしかありませんし、受注者側にとってもリスクが日々大きくなっている状況です。
それが大きなプロジェクトになれば、その振れ幅も大きなものとなってしまいますので、記事のようなことになってしまうのも、仕方のないことかもしれません。
2639億円
記事によれば、区によると跡地に建設が予定されているのは地上61階、高さ約250メートルの複合施設「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」。
高層棟にはオフィスや住宅、展望施設が設けられる。隣接する低層棟には、収容人員7千人規模の大ホールやホテルなどが入る予定だ。子どもの遊び場や会議室も整備する。区は、この再開発の事業費を2639億円と見込んでいた。ということです。
さすがにスケールの大きなビッグプロジェクトに違いありませんね。
900億円増
ところが、区関係者によると9月上旬、施工者の野村不動産が人件費の高騰や物価高を理由に「工事費が900億円超増える」と伝えてきた。工事を請け負う清水建設が増額した見積もりを、野村不動産に出してきたということです。
上場されている日本一と言っても過言ではないスーパーゼネコンですら、この時点で3割以上のコストアップとなってしまっていますので、如何ともし難い状況ということだと思います。
着工の遅れと計画の見直し
さらに後日、野村不動産は「今年度の着工は難しい」と連絡してきたということと、その際、建設費の増額分を削減するため、計画を精査するとも説明したということだったそうです。
この報告を受けて区は年度内の着工と、29年度末の完成を断念。区の担当者は「駅前の(閉館した)中野サンプラザは、できるだけ早く解体したいが、今のままの事業計画では進めない」とし、計画自体の見直しも視野に検討するとしている。と書かれていました。
もちろん区としては事業の採算性から予算の確保など、これまでに多くの時間をかけて検討の上、事業を実行することにしたと思いますし、その計画を見直すのもまた、辛い決断になりそうですね。
恐らく、この先十年スパンでも建築費自体が下がることは考え難いので、同じ建築物なら今が一番安価な時代とも言えます。
区の職員さんが、安易なコストダウンや事業縮小で中途半端な建物にしたり、区民の資産にならないような計画の変更は避けてもらいたいものです。