「春、花粉を回避する街」の資産価値 「こんなに違う」東京23区に潜む「花粉格差」のメカニズム
小池百合子・東京都知事が「花粉ゼロ」を掲げてから10年が経つ。しかし、その現実は改めて説明するまでもないだろう。都内マンションの販売価格を定点観測し続けるマンションブロガー「マン点」氏は、同じ都内でも地域によって飛散する「花粉の量」には大きな開きがあると指摘する。
2026年3月2日 11時0分 デイリー新潮
不動産の価値と花粉の量
これはなかなか面白いというか、新しい視点かもしれません。
それは、不動産の資産価値を花粉の飛散量によって考えるというもので、確かに今からのシーズンでは、藁をもつかみたい気持ちで過ごされている人にとって、少しでも花粉の量が少ない場所に価値を見いだすこともあるかもしれません。
花粉の経済損失と公害
記事によれば、毎年「この季節」が来ると憂鬱な気分になる人も多いだろう。花粉症は「個人の体質」の問題にとどまらず、国策として大量に植えられたスギ人工林による「現代の公害」と捉えることもできる。
厚生労働科学研究の報告や、日本鼻科学会の調査によれば、スギ花粉症患者の労働能率低下率は平均して「33%から42%」に達するという。つまり、デスクに座っているあなたのパフォーマンスは、その約4割が知らないうちに“霧散”していることになる。
これは「出勤はしているが、症状によって業務能率が著しく低下している状態」。すなわち「見えない欠勤」とも称される経済損失である。と書かれていました。
いやはや本当にそのとおりで、相当に意識をしていませんとどうしても鼻水や目の痒みに意識がいってしまいますし、頭がぼーっとしてしまったり、時にはお薬の作用もあったりして、眠気に襲われることもありますので、どうしてもパフォーマンスが低下してしまうのは避けられないように思います。
ということは、すでに発症している社会人の皆さんについては、このシーズンのお給料を4割減にされても、意義を申し立てることは出来ないということにもなりかねません。とにかく頑張りましょう。
地域による飛散量の違い
次に記事にあったのは、ところで、同じ23区でありながら、その飛散量には地域によって大きな違いがあるのをご存じだろうか。実は、杉並区や練馬区と、墨田区や江東区では、そのエリア一帯の花粉の飛散条件に明確な差があるのだ。
不動産価値を語る際、我々はこれまで地価や交通利便性にばかり目を奪われてきた。しかし、毎年のように花粉症に頭を抱える人にとって、それはもはや不動産選びにおける「隠れた資産価値」とも言える。データでひも解く、居住地選びの新たな判断材料を提示したい。とのこと。
都知事の公約と現実
ここでおさらいですが、2016年の都知事選に始まり、翌年の衆院選で小池氏が「希望の党」を結成した際にも掲げられた「花粉症ゼロ」公約。行政は大量の花粉を生むスギ人工林の「伐採」「植え替え」「発生抑制」の三本柱を軸に対策を講じてきた。
年間予算を増額し、多摩のスギ林を植え替える努力は評価されるべきだが、そこには冷徹な「物理の壁」が立ちはだかる。
都の最新資料(令和7年版・暫定)によれば、2016年以降の年間植栽実績はほぼ30~50ヘクタールで横ばいだ。母数となる2万ヘクタール超の人工林に対し、年次進捗率はわずか0.1%~0.2%前後。20年近い積み上げをもってしても、累計では「全体の3%」にも満たない。とありました。
一応活動は継続しているものの、その効果はほとんど無いと言っても過言ではないレベルで、まだまだ数十年のスパンで継続していかなくては、目的を達成することが出来ないということなんですね。
地域格差の要因
このように、花粉の発生源としての森林体積は依然として圧倒的であり、統計的には変化が見られないのが現状だ。行政による抜本的な解決には半世紀以上の時間がかかるのであれば、個人の立地選択で対抗するしかない。
ここで、ウェザーニューズ(WNI)の観測値によれば、杉並区と江東区では飛散量に最大で「約5倍」もの開きがある。環境省の年次データにおいても地点間で数倍の開きが確認でき、同じ都内でも居住地によって「吸い込む花粉の総量」が異なることが分かる。
発生源に近い杉並・練馬といった「風上」の住宅街は、シーズンを通して高い数値に晒される。一方で、そこから都心を挟んだ東側に位置する墨田や江東のエリアでは、飛散量がぐっと少ないのがわかる。とありました。
その要因として、春の日中、海側から冷たく清浄な空気が一気に流れ込む。この力強い海風が、ビル群を抜けてきた弱々しい花粉の風を正面から押し戻し、跳ね上げる。気流の減衰と海風による空気の置換。この二重のプロセスが、東側のエリアに花粉濃度の低いエアポケットを作り出しているのだ。ということです。
陸と水面の違い
さらに記事では、「緑の豊かな街」という評価は魅力だが、花粉アレルギーを抱える人には、行政が公表する「みどり率」の定義を知っておく必要がある。
そもそも「みどり率」とは、樹木などの植物(緑被)だけでなく、川や海などの「水面」や公園の広場を合算した指標だ。対して、純粋に植物が地面を覆う割合を「緑被率」と呼ぶ。この「みどり率」から「緑被率」を引いた数字が大きいほど、そこには花粉を出さない「水面」が多く存在することになる。
アスファルトや土の地面と異なり、水面に落下した花粉は水分に捕捉されるため、乾燥後に再び風で舞い上がるという現象が起こりにくい。つまり水辺の多い地域には「一度落ちた花粉を二度と舞い上がらせない(再飛散の抑制)」という物理的な強みがある。
西側は植物が密集して花粉が舞いやすい一方で、東側は広大な水面が飛散を沈静化させる役割を果たしているのだ。中央区や千代田区も、皇居の濠や隅田川がバッファとなり、数値以上に影響を和らげている。自分が生活の拠点とするエリアの「緑」の内訳が「植物」なのか、あるいは「水面」なのか。その実態を意識するだけで、環境の見え方は大きく変わるはずだ。とありました。
安全性も顧慮しましょう
今日の記事では、花粉の飛散量が不動産の価格に反映されても良いのではないか、と言う提言でした。しかし、花粉を避けたいが為だけに水辺の土地を選ぶのは、ちょっと違うような気もします。
恐らく、記事で言われている花粉の少ないエリアは、地盤が軟弱でかつ近くに河川があったりして、すでにハザードマップにおいても指定されている場所であったりしますので、そこの資産価値と安全性については、もう少し考えたほうが良いと思います。






