「強い台風の上陸が増えているのは本当」台風の専門家が語る、その理由とは?《100年間のデータを分析》
6月3日、台風6号の影響で日本列島は大荒れの天候となっている。気候変動が進行する今、台風にはどんな変化が起きているのか。過去100年単位の時間軸で調べた結果、わかったことは–。台風を研究する横浜国立大学教育学部教授の筆保弘徳氏の解説記事を一部紹介します(初出:文藝春秋2020年11月号)。
2026年6月3日 8時0分 文春オンライン
事後のチェックも忘れずに
まずは本日の台風通過による被害はございませんでしたでしょうか?
まだ強い風が残っているところもございますので、外出時にはくれぐれもご注意ください。
また、現状ではわからないところも多いと思います。明日以降明るい時間に、自宅周辺を見て回り、飛来してきたものや破損などがないか、一度チェックをしておいてください。
100年のデータ
そんな今日の記事では、台風についての傾向と対策が書かれていましたので、参考の上十分な備えを行うようにしましょう。
記事では、最近の台風について語ると、台風が強くなっているのではないか、また、上陸する台風が増えているのではないか、といった質問を受けます。果たして、台風は近年強くなり、上陸数は増えているのでしょうか?
気象庁が発表している台風のデータは1951年以降のものです。そこで我々は、過去上陸した台風の観測資料を集めました。すると、なんと1900年までさかのぼることに成功したのです。これで、日本に上陸した台風の100年以上前からの傾向がつかめるわけです。とのこと。
凄いですね。100年以上前の資料が残っているとは、気象関係に携わられた先人の方達に敬意を表したいと思います。いったいどのような傾向を見つけることが出来たのでしょうか。
数と強さの傾向
記事によると、その結果、上陸数は年によってばらつきはありましたが、長期的な増加や減少の傾向はみられませんでした。つまり、最近の台風の上陸数は、100年前とくらべて変わっていないということです。
一方、上陸時の台風の強さにはある傾向がみられました。台風上陸時の気圧で分類すると、970ヘクトパスカルを下回るような強い台風の割合が、2000年代以降で急増していたのです。解析した115年間の平均が約30%なのに対し、2000年代以降は約50%。強い台風の上陸が最近、増えているのは、どうやら本当のようです。とありました。
数は変わらずともその威力は確実に増しているということのようです。もしかすると、国民の中には台風の本当の怖さを感じられていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
台風の被害
台風が接近・上陸すると、大雨、洪水、暴風、高波、高潮などをもたらします。また、川の氾濫や土石流、がけ崩れ、地すべりなどの土砂災害が発生することがあります。
さらに、平均風速15~ 20m/sの風が吹くと、歩行者が転倒し たり、高速道路での車の運転に支障がでるなど、モノが飛ばされてきたり、建物の倒壊も発生する可能性があります。
強い台風の要因
記事の中で教授が言われていたのは、この原因は主に2つ考えられます。海の上で台風そのものが強くなっているか、または台風の海上での強さは変わっていないが、勢力が弱まらないまま北上して日本に上陸しているか。
海の上の台風の強さについては、昔のデータがないため謎のままです。しかし、勢力が弱まらずに上陸する台風が増えた可能性はあります。
ただ私は、温暖化で海水温がより高くなっているというよりも、海水温が上がった領域の緯度が上がっている、つまり、海面の高温域が北上しているのではないかと思っています。以前とくらべて日本近海の海面の温度が上昇したことで、台風が勢力を維持したまま上陸するようになっているのではないでしょうか。とありました。
海洋研究という分野でも、それはそれで研究を進められていることと思いますし、そのデータもきっと台風研究には活かされているのではないかと思います。
人類にとっては100年、一世紀と言えば、人間の寿命に照らしてもそれなりに長い時間ですが、地球にとっては、本当にわずかな一瞬の時間ですので、100年スパン程度で地球の傾向がわかるとは言えないかもしれません。
近年の現実と災害の備え
記事に書かれていたのは、思えば2016年は特殊な年でした。8月、岩手県に初めて台風が上陸、豪雨により20人が亡くなりました。同月、北海道では1週間に3つの台風が上陸、そのさらに1週間後には4つ目が接近し、川が決壊したことにより大きな被害が出たのです。
これまで被害を受けなかった土地にも台風が上陸するようになり、また、そこでの勢力が弱まることもない。2016年、北海道、東北地方に上陸した大型台風は、環境の変化に伴うこういった変化の前兆と言えるのかもしれません。
もはや日本中どこに暮らしていても台風が襲ってくることを想定していなければなりません。伊勢湾級台風の東京上陸も、シミュレーションの世界だけの話ではなくなってきているのです。とありました。
人間の言う時間軸では、確かに記事にあったとおりのデータとなっていますし、こと災害に関してはどれだけ準備をしていても足りることはありません。
記事にもありましたが、きちんと警戒をしているところに強い台風が来るのと、まったく警戒していなかったところに弱い台風が来るのとでは、後者の方がその被害は大きくなることがあります。備えがない地域への台風襲来こそ、現代の台風における最大の脅威だと言えるでしょう。
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