実は多い…マイホームを「吹き抜け」にして後悔している人たち 住宅の専門家は「吹き抜け」をどう考えている?
「マイホームは『吹き抜け』にしたい」「吹き抜けの家に住むのが憧れ」。そんな思いから、マイホームを建てるときに「吹き抜け」にしたという人もいると思います。見た目がおしゃれな上、開放感がある構造が人気の理由ですが、一方で「吹き抜けにして後悔しかない」「吹き抜け、不満だらけ」「失敗だった…」という声も少なからず聞かれます。
2025年9月11日 8時10分 オトナンサー
吹き抜けです
吹き抜けですね、確かに憧れている方は多いのですが、最初に結論から言ってしまいますと、憧れていたなら一度は実現されてみた方が良いかと思います。
だってせっかく注文住宅で家を建てるのですから、そこは他人の言う意見や損得に左右される必要はないのではないでしょうか。
実際に造って、体験してみて、もしかすると諸先輩の方達と同じ思いをするかもしれませんが、それも含めて覚悟の上で実行した結果なら、それは後悔とはならず学びとなるだけです。
室内が広く感じられるけど…
Q.そもそも、住宅における「吹き抜け」とはどのような空間を指すのですか。
記事を書かれていた宅地建物取引士さんによれば、「吹き抜けとは、複数階にまたがって上下方向に開放された建物内部にある空間のことです。例えば、住宅において1階のリビングが2階の天井までつながっている空間が吹き抜けに該当します。と定義されていました。
さらに、吹き抜け部分は、柱や梁(はり:柱と柱をつなぐ横架材)が少なくなる点が基本的な構造です。そのため、吹き抜けを設ける場合には、吹き抜け周囲の柱や梁を太くすることで建物の荷重をしっかり支えていく必要があります」と書かれていました。
これも当然のことながら、床に穴が開いている状態は、構造的に弱くなってしまうのは容易に想像できると思います。となると、当然補強が必要になったりしますので、コストアップにもつながってしまうでしょう。
メリットは
Q.「吹き抜け」の空間におけるメリットは、どんな点にあると思われますか。
「吹き抜けは、室内が広く感じられる点がメリットです。人間は天井が高いと、その空間を広く感じる傾向があります。吹き抜け部分は天井が2階まで開放されているため、他の部屋と比べて天井の位置が高いです。そのため、吹き抜け部分では開放感が演出され、実際の面積以上に広々とした印象を生むことができます。
また、2階の天井に窓を設け、1階の空間に自然光を取り入れることができる点も、吹き抜けならではのメリットです」と書かれていました。
そんなメリットを語られると、ますます吹き抜けを設けたくなってしまうのも仕方ありませんね。
デメリットは
Q.一方で、「吹き抜け」のデメリットはどういった点だと考えられますか。
「吹き抜けのよくあるデメリットは、空調効率が下がるという点です。吹き抜けは天井が高い大空間となるため、空調効率が下がり、光熱費が上がってしまいます。特に冬場は暖かい空気が上にたまることから、1階が寒くなりやすいです。
また、先述したように、吹き抜けを設けることで周囲の柱や梁を太くすることが必要となります。そのため、建築費も割高となりやすいです。空調効率を上げるために断熱性を高めようとすると、建築費もさらに上がる原因となります」ということですね。
そのとおり、吹き抜け空間では冬季の暖房効率が非常に低下してしまいますので、エアコンだけではどうしても足元が寒く感じてしまいます。これを少しでも改善するためには、あらかじめ断熱性能を出来る限り上げておくことや、温水式床暖房の設置などが必要になります。
デザインか安全か
記事にもありましたが、吹き抜けのようなデザイン性に優れた仕様を取り入れる場合は、劣る機能について最初に考慮すべきです。吹き抜けは空調効率という機能性が劣るため、それでも開放感というデザイン性を優先するべきかを十分に検討すべきかもしれません。
最後に、弊社のOBオーナー様でクリニックを開業されている方に教えて頂いたことなんですけど、窓が広く陽光が射しこむ明るい吹き抜け空間は、医療機関には禁忌な構造なのだそうです。それは光感受性てんかん(光過敏性てんかん)の持病(既往)がある方が、てんかん発作を発症させる原因になるからで、光感受性てんかん患者は、本人も全く自覚していない潜在性の患者が存在するので厄介ですとおっしゃっていました。
さらに同様の吹き抜け空間で実際にてんかんを発症された患者さんを、目の前で経験しているとも言われていましたので、これは大変貴重なお話しを聞かせて頂いたと思っています。
もちろんRC住宅なら、吹き抜けのある間取りも柔軟に対応可能です。