「生前贈与加算制度」が変わる!注意点と対処法を税理士が解説
2022年末に発表された令和5年度税制改正大綱により、相続税が改正される方向性であることが発表されました。
いままでは相続発生前3年間に贈与をしたものは、その贈与を遡及して相続財産に含むものとして相続税を計算していましたが、相続発生前7年間に変更されます。
2023年1月11日 11時45分 幻冬舎ゴールドオンライン
今日はこちら。
今回の税制改正大綱では。
今回の税制改正大綱では、都市部に不動産をお持ちの方や資産家の方々にとっては、ちょっと期待したい内容が含まれていたようですので、今後の動きに注目しておいて頂きたいところです。
とは言え、日本全体では相続税を課される方は、亡くなった方の概ね8%程度であると言われていますので、そんな心配は無用ですという方も多いでしょうから、余計な心配や不要な節税行為などは慎む必要があります。
相続税のおさらい。
ここでおさらいをしておきますと、暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間(暦年)で、贈与額が110万円以下ならば贈与税がかからないというしくみを用いた贈与方法で、110万円を超える部分に関しては贈与額に応じて贈与税がかかることになります。
そこで、亡くなる直前で「相続税逃れ」のために行われる駆け込み贈与を防止するため、今回の見直し案では暦年贈与において、贈与を受けた日から7年以内(現行は3年以内)に贈与者が亡くなってしまった場合には、その生前贈与はなかったものとみなされ、贈与済みの財産が相続財産に加算されて相続税の課税対象となってしまうということです。
これで改正後は贈与者の死亡から遡って7年間に行った贈与が相続税の計算対象となるため、贈与による節税効果が減少することは間違いありません。
相続時精算課税制度のおさらい。
次に「相続時精算課税制度」とはどのようなものか、こちらもおさらいしておきましょう。
60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子・孫への生前贈与について「相続時精算課税制度」の適用を選択した場合に累計2500万円までの贈与について贈与税が非課税になり、2500万円を超える贈与については一律20%の贈与税がかかります。
制度選択した贈与者が亡くなった際には、贈与を受けた額全てが相続財産に加算されて相続税が計算されるため、基本的に節税対策には使えませんが、子や孫へ早期に財産(例:家賃収入を生む不動産など)を移したい場合に効果的と言われていました。
現行では相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者からの贈与については、それ以降110万円の基礎控除は使えなくなりますが、改正案では毎年110万円以下の贈与については課税されず、申告も不要になるという、何ともお得な内容になりそうです。
これは先ほど話にあったように暦年贈与では相続開始前7年間の贈与が相続財産に加算されることになるのとは対照的に、相続時精算課税制度を選択すれば、驚くことに相続開始直前でも年間110万円までの贈与は相続財産に加算されないという案になっているんですね。
であれば、贈与者(あげる人)がある程度高齢になった時点や、病気などにより残された時間がそう長くないと予測された時点で相続時精算課税制度を選択するという、相続対策を考える上では新しいセオリーとなります。
税制が改正される詳細が決まるのはこれからですので、今の時点では分からない部分も多いようですが、節税対策としての贈与セオリーが変化する改正となるかもしれません。
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