「バクテリアをセメントに注入すると蓄電池になる」という発見
これこそ「再生可能」と呼ぶにふさわしいのでは? 死んでもよみがえるんだもの。
驚異的な生存能力で知られる微生物ですが、今回、科学者がさらにびっくりな発見をしました。なんでも、バクテリアがセメントを蓄電バッテリーに進化させるとか。
2025年9月25日 9時0分 ギズモード・ジャパン
セメントは自然由来
これはなかなかの発見ではないでしょうか。
一般的にセメントと聞くと、自然界に存在しない何か化学物質で出来ているようなイメージを持たれるかもしれませんが、それは全くの思い違いです。シリカやカルシウムという単語をご存じでしたら、セメントは同じ仲間と思って頂いて間違いありません。
ということは、バクテリアと共存することも可能でしょうし、何よりも再生可能で持続可能なバッテリーを実装出来るようになるかもしれません。
バクテリアが電子を伝達
記事によれば、デンマークのオーフス大学に在籍する研究チームは、科学誌Cell Reports Physical Scienceに掲載された研究論文で、Shewanella oneidensis(シェワネラ・オネイデンシス)というバクテリアをセメントに注入する実験について報告しています。
このバクテリアは、表面を横断して電子を伝達することに優れており、研究者たちはセメント内でエネルギーを運ぶ役割を果たすのではないかと考えたそう。
研究チームの推測は当たりました。セメントはまるで命を得たかのように、バクテリアによって「電気エネルギーの蓄積と放出ができる電荷担体のネットワーク」を構築したと研究チームは声明で説明しています。
つまり、このシステムは蓄電バッテリーのように機能し、将来的には持続可能な建築物の実現に役立つ可能性があります。また、10,000サイクル使用した後でも、容量の85%を維持する安定感を誇るといいます。
再生可能
いやはや、なんとも凄い研究をしてくれましたね。この基礎が確立されればもっと色々な使いかが考えられそうですし、何よりもRC住宅との相性が最高でしょうから、一緒に研究させて頂けると嬉しいです。
記事では、さらにすごいのはこのセメントは、たとえ死んでも簡単な方法で栄養分を与えれば再び活性化するのだとか。まさに再生可能ということを示していますね。
構造と機能を融合
次に記事に書かれていたのは、研究論文の主執筆者で、オーフス大学の土木技師であるQi Luo氏は、声明で次のように説明しています。ということ。
私たちは、構造と機能を融合させました。その結果、荷重を支える強さを持ち、エネルギーを貯蔵できる新素材が誕生しました。しかも、栄養分を与えれば機能を回復する能力まで兼ね備えています。
RC住宅が蓄電池
Luo氏は、将来の展望について、声明でこう語っています。
私たちは、この技術が実際の建築物に組み込まれる未来を思い描いています。壁や基礎、橋に導入することで、太陽光発電のような再生可能エネルギーを補完し、ローカル地域の蓄電バッテリーとして活用できるでしょう。
バクテリアを注入したコンクリートで建てられた普通の部屋を想像してみてください。(壁に使うコンクリートを2,000kgと仮定すると)エネルギー密度を5Wh/kgと控えめに見積もっても、約10kWhを蓄電できます。これは、標準的な企業用サーバーを丸一日稼働させるのに十分な量です。
研究結果では、エネルギー密度が178.7Wh/kgを達成したとあるので、実際の蓄電量はもっと多くなると思われます。ということです。
なんとも楽しみな研究です。RC(鉄筋コンクリート)住宅なら、家全体を蓄電池として利用出来るようになるかもしれません。そうなれば災害時はもちろん、平常時においても省エネに貢献できることでしょう。
安全・快適・省エネな家をお探しなら、是非RC住宅をご検討ください。