「ガンダム」最優先、夢の「趣味部屋」に住む31歳
ひとり暮らしの部屋には、その人の生き方が反映される。どんな理由でその住まいを選び、どんな思いで空間を整えたのか。そこには、人それぞれの暮らしの哲学が隠れている。本連載『だから、ひとり暮らし』では、そんな問いを手がかりに、住人たちの人生に触れていく。
2025年6月24日 6時0分 東洋経済オンライン
趣味部屋
「趣味部屋」、なんとも魅惑的でちょっと後ろめたい言葉ではないでしょうか。
でもこれ、男性だけに限らず女性でもきっと憧れてる人がいるに違いありません。
もちろん趣味の世界ですから、それはもう千差万別、多種多様、魑魅魍魎の世界が繰り広げられていることでしょう。わかる人だけがわかるもしくは自分だけが納得出来ればそれで良いわけです。
そんな趣味を追求するには、それなりの努力と苦労と思えない苦労も必要でしょうし、自分の持っている熱量に応じて、楽しむことが出来れば幸せですね。
今日の記事では、雑誌の連載に取り上げられた趣味部屋が紹介されていました。
ガンダム愛
記事によれば、今回訪ねたのは、ガンダム愛を原動力に生きるタカハシさん(31歳)。コレクションをテーマにしたYouTubeチャンネル「タカハシラボラトリー」、通称「タカラボ」でガンダムのプラモデル等について発信。今では登録者数16.5万人を誇る。という方のお部屋がそれです。
そこは埼玉県の住宅地にある、ごく普通のアパート。しかし玄関の扉を開けた瞬間に、圧倒的なガンダムの世界が広がる。広さ65㎡の3DKは、趣味のために選び抜いた物件だ。部屋中には整然とディスプレイされたガンプラや関連グッズが並び、生活感は極限まで排除されている。
お部屋の写真も沢山ありましたので拝見しましたが、それはそれは圧巻の光景でした。そこには普段配信をする部屋。多くのディスプレイスペースに隙間なく棚を入れられるように、採寸は厳密にしたそうです。
さらに、圧巻の「積みプラ」(プラモデルの箱を積み上げたもの)。プラモデルは組み立てる前のパッケージも重要。ディスプレイケースにもこだわりがある、プラモデルを作るスペースは本のように閉じられる仕掛けになっていたり、料理はしないので、換気の良いキッチンは塗装スペースに。そんなノウハウも動画で公開しているそうです。
「こういう趣味部屋をつくるのが、子どもの頃からの夢だったんです」と語る住人のタカハシさん。時間も空間も、自分の好きのためにとことんチューニングされたガンダムマニアの夢の城だ。
趣味人の方によれば、「ガンダムの供給は絶えることがない。だからガンダムマニアは、ずっと幸せでいられるんです」と言われていました。
オタクがネガティブだった頃
そんな彼ですが、「中学の頃は、ガンダムが好きって堂々と言うのがちょっと恥ずかしかったんです。その頃はまだ“オタク”って言葉にネガティブなニュアンスが強くて、アニメが好きってだけで引かれたり、からかわれたりすることもあって。
自分も、特別勉強ができるわけでも運動が得意なわけでもない何の特徴もない、普通の男子中学生でしたから、余計に自分からわざわざ“浮く要素”を出すのが怖かったんですよね」
でも、高校に進学したとき、気持ちがふっきれたそうだ。「開き直りました。“ガンダムのやばいやつ”って思われたほうが早いなって。で、実際に言ってみたら、けっこうすぐにクラスで顔と名前を覚えてもらえたんですよ。“ガンダム好きのタカハシ”って、それだけで認識される。そこでようやく、自分が“誰か”になれた気がしたんです」と語られていました。
趣味と仕事の両立
年齢を聞いたらまだ若い方だったので、もしかすると子ども部屋に暮らしているのかと思いましたが、実際はそうではなく、しっかりと考えて自立した大人の青年でした。
記事に書かれていたのは、そうして歯科資材の営業職を経て、現在は建築系の仕事をしている。体力的にも時間的にもハードな日々だが、世間を知り、収入もアップ。社会人としての自信がついてきた。ということ。
「ガンダムは本業ではなく、余暇に楽しむものになりました。でも仕事以外の時間はガンダムに全振りしています。平日は仕事から帰ってきてから、夜にYouTubeの撮影とか編集。
そもそも動画をつくる前に、まずガンプラを組み立てなきゃいけないですし。土日はスケジュールを空けて、制作や撮影、アップの準備。ほんと、1分1分が貴重です」と書かれていました。
素晴らしいですね。まさにオタクの鏡のような人です。もちろん他人の人生ですから、その価値観や判断基準も違って当然です。その上でしっかりと社会生活と両立されているのも凄いと思います。
ライフスタイルを実現しよう
趣味と暮らし、それぞれの“居場所”をきちんと分けながら、どちらも手放さずに生きていく。夢への強い思いと現実的なバランス感覚を併せ持つタカハシさんを見ていると、そんなライフスタイルも実現可能だと思えて、勇気とやる気が出てきます。
もし、住まいづくりのチャンスに巡り会えたら、是非、趣味部屋作りにチャレンジして欲しいです。