相続した実家を取り壊したら、年間「5万円」だった固定資産税が「30万円」に跳ね上がった! 空き家のまま放置してた方がよかったんでしょうか…?
相続して実家を持つことになったものの、活用予定もないため取り壊したら、突然「固定資産税」が5万円から30万円に跳ね上がったという話を聞くと、誰でも驚くでしょう。 なぜ「解体=税負担が軽くなる」のではなく、「解体したら税金が急増する」可能性があるのでしょうか。逆に、空き家として放置しておいた方がよかったのでしょうか。 この記事では、制度内容を整理しつつ、どのような判断が賢いかを解説します。
2025年10月15日 11時20分 ファイナンシャルフィールド
団塊の世代も隠居へ
日本では、団塊の世代と言われてきた方達がいよいよ現役を終えて、隠居生活へと移行される方が増えてきました。
そのことが現在の人材不足にもつながっているようですが、とにかく国民全体の人口に対する割合が大きかった分だけ、その影響も大きなものになるのでしょう。
ということは、この後団塊の世代の方達から相続が発生する可能性も高くなりますので、団塊の世代を親に持つ方達では、何らかの対策が必要になってくるかもしれません。
住宅用地特例の落とし穴
記事にあったように、現在の法律でも矛盾するところは多くありますが、使わない古屋を取り毀したら税金が急増するということも当然あり得るお話しです。
なぜ住宅を取り壊すと税金が跳ね上がるのか? 「住宅用地特例」の落とし穴
記事にもありましたが、住宅が建っている土地には、「住宅用地特例」と呼ばれる固定資産税の軽減措置があり、一般的には全ての住宅がこの特例を請けています。
国土交通省によると、小規模住宅用地(敷地面積200平方メートル以下の部分)なら固定資産税の課税標準額が6分の1、一般住宅用地(200平方メートルを超える部分)でも3分の1に抑えられる仕組みです。これにより、住宅のある土地は税負担が大幅に軽くなっています。
しかし、この特例は「住宅が建っていること」が前提です。建物を取り壊して更地にすると、土地は「住宅用地」ではなくなり、特例の対象外になります。
その結果、軽減されていた分の税金が元に戻り、税額が数倍に膨れ上がることがあります。建物を解体すれば建物分の税はなくなりますが、土地側の増税効果の方が大きいケースでは、結果的に全体の税負担が増えるというわけです。と書かれていました。
管理不全空家
住宅街の中にどう見ても使われていない家があったりしますね、いわゆる「空き家」と呼ばれる建物です。この多くは上記の理由だったり、または相続が争いになっているケースもあるようです。
しかし、一報で空き家を長期間放置して老朽化が進むと、倒壊の危険や衛生面の問題などが生じ、自治体から「管理不全空家」や「特定空家」に指定・勧告を受ける恐れがあります。
そうなると、これまた住宅用地特例が外れ、税額は更地と同じ扱いになります。結果的に、解体しなくても税金が上がる可能性があるのです。また、空き家の維持には清掃や修繕などの費用や労力もかかり、建物の価値も時間とともに下がっていきます。
さらに、2023年12月の法改正では、「管理不全空家」という新しい区分が設けられ、特定空家の勧告を受け、必要な措置を命じられてもなお空き家などの状態が改善されない場合には、行政代執行が行われる場合があります。その際にかかる費用は所有者に請求されることになります。
お得よりも低リスク
ということで、残念ながら簡単にどっちがお得というお話しにはならず、その決断には十分な検討が必要となります。
ここ数年では解体工事ももちろん高騰しています。解体費用が数百万円単位でかかることも多く、維持費削減だけでは帳消しにならないケースも考えられます。つまり、「放置」「解体」どちらにもメリットとリスクがあり、単純な損得では判断できません。
相続した実家をどうするかを考える際には、税金だけでなく、管理体制や将来の活用方法を含めて判断することが大切です。
やはり重要なのは、「どちらが得か」ではなく、「どちらがリスクを抑えられるか」ということになりそうです。空き家の管理や解体の判断は早めに行い、自治体や専門家に相談することが大切ですね。