古代ローマのコンクリート、ポンペイ遺跡の発掘で製造法が明らかに
(CNN)古代ローマの建築に使われていたコンクリートは、自己修復機能を持つことが知られている。当時の都市ポンペイの遺跡で、このコンクリートがどのように作られていたかを明確に示す建築現場の跡が発掘された。
古代ローマ帝国では多くの技術革新とともに、建築分野にも大改革が起き、大規模なアーチやドーム屋根などが登場した。建築物の多くは2000年以上経った今も残っている。
2025年12月23日 16時16分 CNN.co.jp
ローマン・コンクリート
これはちょっとワクワクするニュースです。
これまでにも何度かここで紹介していますローマン・コンクリートのお話しで、今回はその製造方法が明らかになったということですが、これは非常に興味深いニュースですね。
ちなみに、現代のコンクリートは水とポルトランドセメント(石灰石と粘土を主成分とする微粉末)を混ぜたペーストを使って砂利などを固めたものですが、これに対してローマン・コンクリートは、ポルトランドセメントの代わりに火山灰と石灰の混合物を使って岩石片を固めています。
このローマン・コンクリートの内部には、アルミニウムトバモライトという希少鉱物が存在することなど、その独特な化学的特徴についても記事で報告されていました。
ポンペイ遺跡
次に記事にあったのは、注目の集まるポンペイは紀元79年、ベズビオ火山の噴火で6メートルもの灰に埋もれた。ちょうどこの時、1軒の家で修繕、改築工事が進められていた。2023年に国際共同チームが発掘した当時の工事現場では、部分的に完成した壁のほか、資材や工具も見つかった。とのこと。
この発見についての研究論文が今月、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表された。研究を率いた米マサチューセッツ工科大学(MIT)のアドミル・マシック准教授は「発掘現場に足を踏み入れると、何もかもが鮮烈で、ほぼ完璧に保存され、当時の状況がはっきり見えるようだった」と振り返る。「時間が止まったままになっている。文字通りのタイムカプセルだ」と書かれていました。
2000年以上も前の遺跡がそれほど完璧な状態で残っていたなんて、本当に信じられませんが、きっと気象状況や地理的要因などに恵まれていたということと、その材質が無機質なコンクリートだったことも幸いしたのではないでしょうか。
製造方法の証拠
MITの発表によると、今回の発見は古代ローマのコンクリート製造法を示す最も明確な証拠となった。マシック氏はCNNとのインタビューで、「ローマの技術についてこれまで出せなかった結論、少なくともこれほどの確信は持てなかった結論を導き出すことができた」と述べた。
研究チームは発掘作業の後、見つかった遺物を分析した。この中には、作業員たちがコンクリートを作るのに使っていた材料の山や、建てかけの壁、完成した構造壁などが含まれていた。とのこと。
この研究が進めば、現代のコンクリートにおいてもローマン・コンクリートに近い性能を持たせられるようになるかもしれません。
記事によれば、センセニー氏は「今回のような発見によって、平民の労働者や、さらには奴隷が古代史に大きくかかわっていた事実が浮き彫りになる。知識人の著作からは直接感じ取れないことだ」と説明。神殿や円形闘技場などの古代建築を例に挙げ、「それぞれの技能にたけていた庶民の専門知識や技術革新」が表れていると指摘した。
マシック氏は、今回の発見をきっかけにウィトルウィウスと現存のローマ建築に関する研究が進むことを期待すると述べた。
技能と技術を次世代へ
今回の発見では、当時の作業風景も想像出来るくらいのデータが揃っているようですので、材料のみならず職人さんの技能や技術までもが明らかになりそうで、こちらも楽しみです。
記事でもまた「現在の建築が2000年後にどれだけ残っているか確信が持てない」とも話し、古代ローマの工程を現在に活用する方法を検討したいと意欲を示した。と書かれていました。
確かに、現状では100年を目安に使い続けて頂けることを基準にしていますが、地球上で2000年後に残っている可能性のある建築は考えられません。
今回の発見と研究からは、コンクリート住宅の可能性を益々感じさせるものでしたね。弊社では技能と技術を次世代に継承する努力を続けています。2000年はまだ届きませんが、次世代に残る家を建てるならコンクリート住宅が確実です。






