ヒートショック対策を呼びかけ 神戸市消防局 ポスターで啓発「命にかかわる問い」「人は家で溺れている」
今週、強烈な寒波が日本列島に流れ込んだ。そんな中、冬場に浴室などでよくおこる「入浴事故」と「ヒートショック」について、神戸市が注意を呼び掛けている。
「ヒートショック」は、急激な温度変化による血圧の変化によって、体に様々な悪い影響を及ぼすことをいう。浴室や冷え込みやすい脱衣所、トイレなどでも注意が必要で、脈拍が速くなったり、一時的に脳虚血状態になり、意識を消失したりするなどの症状が特徴的だ。
2023年1月26日 11時30分 ラジトピ
ヒートショックの怖さ
ここ数日の最強寒波については、その影響や対策などが多く報道されているところだと思いますが、日本の冬の寒さについては、これまでもそうですし、これからもより寒さが増していくかもしれません。
日本に暮らすということは、この環境の中でどれだけ人間の生命と健康を守ることが出来るか、そのために必要な住まいとはどのようなものなのか、もうちょっと考えてもらえると助かります。
今回の寒波に関連しても話題になっていたと思いますが、この季節で注意が必要と言えば、ヒートショックですね。
記事にあった神戸市では、2022(令和4)年中に「入浴時の事故」として、629人が救急搬送されたそうで、救急搬送に至らなかったケースを含めると、754人にのぼるそうです。また、搬送された人のうち81.1パーセントが65歳以上の高齢者だということ。
さらに、年齢が若くても高血圧や糖尿病などの持病がある人や、不整脈がある人は、ヒートショックになりやすいので注意が必要だと書かれていました。
発生事例
記事にあったのは、入浴事故やヒートショックがおこるケースの例として、次のことが挙げられていましたので、参考にしてください。
(1)暖かい部屋から冷え切った脱衣所や、冷え切った浴室へ入ったため、急激に血圧が上昇する。
(2)冷えた浴室から温かい浴槽へ入り、急激に血圧が低下し、一時的に脳が虚血状態になり、意識を失うことも。
(3)入浴により体が温まった状態から、冷え切った脱衣所へ出たため、急激に血圧が上昇する。
(4)水分補給が十分でなく、高温の湯で長時間の入浴をしたため、体温が上昇し、熱中症に。
(5)暖かい居室から冷え切ったトイレで急激に血圧が上昇。(排便時の血圧上昇も含む)
※42℃以上の湯での30分以上の全身浴では体温が3℃上昇し、誰もが重症の熱中症になり意識障害を生じると言われている。
すでにいろんなところで言われているとおりですが、ヒートショックを起こさないためには、血圧が乱高下しないように気を付けることが重要です。浴室などで温度差をなるべくなくしたり、身体に負担の少ない入浴方法を心掛けることが大切だとされていますね。
風呂からあがる際はゆっくりと立ち上がると体への負担が減るそうですし、入浴前の飲酒は避け、水分は充分に摂取しておくこと。普段から降圧剤を内服している人は特に注意が必要だそうですので、日頃から生活習慣を意識しておきましょう。
広告賞受賞ポスター
今回の記事で取り上げられていたのは、ヒートショックの啓発として印象的なキャッチフレーズのポスターを、神戸市消防局が制作したということ。同市出身のクリエイター・松吉亨さんが手がけた作品で、この広報活動は、消防機関では全国で初めて「第59回JAA 広告賞」屋外・交通広告部門のメダリストを受賞したということです。おめでとうございます。
まず一つ目はこちら。
◇「ごはんが先か、お風呂が先か。命にかかわる問いでした。」
食後や、飲酒後は血圧が下がり、さらに冬場、熱い風呂に入ると血管が広がり、血圧はより大きく下がる。二重に血圧が下がるような状態になると、脳貧血を起こし、浴槽内で意識を失ってしまうことがある。食後に入浴する場合は1時間以上の間を空けるのが良いとされている。先に風呂に入るのもヒートショック対策になるということです。
もう一つはこちら。
◇「海よりも、プールよりも、人は家で溺れている。」
厚生労働省の調査では、入浴中の事故死者数は年間約1万9000人で、交通事故の死者数の4倍にもなる。また浴槽内での溺死者数も多く、特に75歳以上で増加傾向にある。浴槽のふたを体の前にかけておくと、万が一のときに寄りかかれるようになるのでおすすめだとされているそうです。
とにかく、日本人のヒートショックに対する意識が低すぎだと思います。家の中の各所に温度計を設置して、まずは室温18℃を下回らないようにしましょう。
住まいの性能が低いままですとなかなか難しいかもしれませんが、少しでも意識を持って温度差のない環境作りに努めて頂けると良いと思います。
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