建築家として、そして1人の父親として高性能RC住宅を適正な価格でご提供する事が私共の信念です。ですがRC住宅は木造住宅よりも高い(木造住宅とはコストが違います)ので、何も考えずに普通に作ると、誰も手の届かない高価な建物が出来上がってしまいます。コスト面を検討し、少なくとも高級木造住宅と呼ばれているハウスメーカーの金額と同等かそれ以下でご提供したい。これが私達の思う高性能RC住宅を適正な価格で提供するという信念になりました。
しかし、ここからがまた茨の道だったのです。それはまだ当社が鉄筋コンクリートの住宅を世に出そうと考える以前に、頻繁にご近所のマンションリフォーム工事に伺っていた事がありました。現場に伺ってみると、必ずと言っていいほど北側の部屋の壁には黒い染みや真っ黒になっている壁を数多く見ました。一見して結露が原因である事は分かりましたが、対策としては断熱材を入れて置けば良いのだろうとその当時は安易に考えておりました。
ところが、いざ自分達がRC住宅をこの世に出すとなった時に、日本では満足できる断熱材がまだまだ無いという事に気付かされたのです。それから1年以上国内、海外を問わずあらゆる断熱材メーカー・資材メーカーと言われるところに、ひたすら問い合わせをし、探し回りましたが自分達の考えるような物に巡り合う事は出来ませんでした。
断熱材が無ければ結露の対策が出来ない。結露の対策がとれない物は自信をもってご提供する事が出来ないと頭を悩ませていた時に、北海道にある資材メーカーが新しい断熱材を開発したという記事を建築専門誌で見つけました。とりあえずという感じで問合せをしてみたところ、まさに自分達が探していた物だったのです。それがRC断熱型枠システムでした。
このRC断熱工法を当初私たちは性能の高い住宅を提供する為に捜し求めたものでしたが、実際に採用してみると今までのRC住宅と比べて施工の際のコストダウンが図れるものだという事が分かりました。
当初私達が思っていた以上に価格の面で有利にRC住宅を皆様に提供できると感じました。今迄高嶺の花と思われていたRC住宅が手の届く範囲で提供できる形になりました。この金額であればハウスメーカーという「ブランド名」に高いお金をかけてしまっているお客様に本当の「豊かさ」を提供出来る。「安心」を提供出来る。
結果私たちはこれから家を建てるという方に提供させていただくのはRC(鉄筋コンクリート)造だけに特化することになりました。
ところが、それからしばらくするとひとつ合点の行かない事がありました。確かにこの工法で建築すれば、通常よりも適正価格でRC住宅をご提供できますし、お客様にも色々なメリットが有る事が分かりました。しかし、他のRC工法採用工務店や、ハウスメーカーと一括りにされてしまったのです。当たり前と言えば当たり前なのですが、RCを施工出来るという工務店によっては職人さんの技術や、デザインセンスなど千差万別です。ですから、同じRC造で作っても全然違う家が出来上がります。私どもは性能を追い求めてRC断熱工法に辿り着きましたが、単純にRC住宅なら売れそうだという理由だけで採用している業者や、ただ単にRC造を扱う工務店という形で一括りにされる事だけはプライドが許しませんでした。
「RCdesign」として何を創りあげるのか
という点に集中して現場監督・大工・職人さんすべてと毎晩のように議論を重ねました。会社創業当初から社員として働いている熟練した職人さん達と、これまでに数多く手がけてきた型枠大工工事の実績とノウハウ、RCdesign独自の建物をRC工法を利用してどの様に作っていくのかスタッフに浸透させ、オリジナリティを確立する事のみに没頭してきました。時間はかかりましたが、設計から現場監督、職人さんに至るまで私達の考えが浸透したことにより、充分に納得できるものが完成したという自負がございます。現場監督が設計の考えを理解し、職人の技術を把握しているからこそ、様々なデザイン・性能が住宅に反映される事になります。いくらデザイン力があっても、現場スタッフ1人1人の能力が伴わなければ良い物は何年かかっても作れません。また逆も真なりです。
私たちはこれまで鉄筋コンクリート造専門の設計・施工を行ってきました。それゆえに弱点を見つけては改善するという作業を積み重ねてこれましたし、何より大切な経験値を得たのだと思います。たとえば外壁の仕上げ方法や屋根の防水仕様、室内の仕上げ方法などの弱点を克服してきました。
その過程においてはむしろコストアップにつながることもありましたので、もしかすると同じRC造の業者と比べても多少高い価格かもしれません。
私たちはとにかく安ければ良いという価格至上主義的な考えは持っていません。だからと言ってコストをかければ良いというものではないのは当然ですね、より安全でより快適でより長持ちする性能を追求しながら手の届く価格を目標にしています。お客様が支払った金額以上の価値がなければお客様のメリットにはならないと考えているからです。それこそがお買い得と思うから。