「売却後もそのまま住み続けられる」と言われたのに… 家賃値上げで“終のすみか”失う事態にも リースバックのトラブル6年で10倍に 70歳以上が約7割
自宅を売ることでまとまった資金を手に入れつつ、その自宅に賃貸で住み続ける「リースバック」という不動産取引をめぐって、高齢者に対する強引な勧誘などのトラブルが急増しているとして、国民生活センターが注意を呼びかけました。
2025年5月21日 16時19分 TBS NEWS DIG
リースバック
これはまた注意しなければいけない事として、広く周知の必要がありそうです。
老後資金や介護資金が不足した際に不動産を活用する方法の代表例として、このリースバックという方法と、似てるけどちょっと違うリバースモーゲージという方法もあります。
今回の記事によれば、「リースバック」とは、不動産業者などに自宅を売ると同時に賃貸契約を結び、同じ家に家賃を払いながら住み続けるようにする不動産取引のことです。とありました。
メリットとトラブル
住人にとっては、まとまった資金が手に入るうえ、固定資産税の支払いが不要になるというメリットがあり、不動産業者としては割安で物件を購入できるなどのメリットがありますが、トラブルが急増しています。ということ。
国民生活センターによりますと、リースバックの契約に関する相談は2024年度に239件寄せられ、この6年間でおよそ10倍に増加しました。トラブルにあった人のおよそ7割が70歳以上だったということです。
さらに記事によれば、リースバックの契約にはクーリングオフが適用されないため、強引に勧誘されて契約したものの、あとから売却金額の安さに気づき、解約しようとした際、違約金を請求された例や、「売却後もそのまま住み続けられる」と説明され、契約をしたものの、家賃が値上げされて支払えなくなり、退去を求められた例などがあるということです。
とにかく相談を
なかなか恐ろしい状況になってしまいますね。リースバックでは比較的大きな金額が一時的に入金されますので、ちょっと感覚が狂ってしまうのかもしれませんし、実は賃貸である以上家賃の値上げも当然あり得ることなんですね。
国民生活センターは、消費者側には安易な契約はせず、事前に信頼できる人に相談するよう注意を呼びかけています。また、事業者側には、高齢者との契約にあたり、メリットだけでなく違約金や家賃などのリスクについても丁寧に説明するよう求めています。
しかしながら、この制度を利用される方の多くが高齢者ということですので、そこはもう少し分かり易くした運用のルールを厳しく定める必要があるように思います。
メリット
一般的なリースバックのメリットと言えば、
・売却後も引越しが不要
・短期間で自宅を現金化し資金を確保できる
・毎月の支払負担を減らせる場合がある
・周りに売却したことが知られない
・天災等の所有に関するリスクが無くなる
・事業用の不動産の利用も可能
などが上げられています。
デメリット
一方で当然デメリットもあります。
・買取となるため通常の売却金額より低い
民間不動産業者が買い取る価格設定では、一般的な市場取引価格の7~8割程度が相場ですが、リースバックでの売却金額は相場の70%程度と言われていますので、不通に売却するよりも3割も安くなってしまうわけです。
・家賃が高い場合がある
もちろん業者も賃貸業として考えれば、売買価格と家賃は利回りという数字で連動していますので、売買金額が高くなれば周辺の家賃相場よりも高くなる場合があるということですね。
・住める年数に期限がある場合がある
普通借家契約と定期借家契約の違い(契約期間)になりますが、後から契約内容変更が難しいため契約時によく理解した上で判断することが必要です。間違っても5年や10年の定期借家にしてしまうと、本当に追い出されてしまいますので、もう取り返しの付かないことになってしまいます。
もしご高齢の親御さんがいらっしゃるご家庭や、まさに自分の老後設計で利用しようと思っていた、という方もいらっしゃるかもしれませんが、くれぐれも自分だけで判断せずに、家族や第三者にご相談の上慎重にご検討頂ければと思います。