減少するかやぶき職人 魯山人・旧宅の屋根ふき替えでも2年待ち
書画や陶芸、料理など多方面に才能を発揮した芸術家、北大路魯山人(1883~1959年)の旧宅を移築した「(しゅんぷうばんりそう)」(茨城県笠間市下市毛)で5月初め、かやぶき屋根の一部ふき替えが仕上がった。
2024年5月14日 6時30分 毎日新聞
魯山人
魯山人といえば、美食家としても有名な芸術家ですが、その旧宅が大切に保護されています。
これは昭和40年に、北大路魯山人が住居としていた約300平方メートルの茅葺き民家を北鎌倉より移築し、「春風萬里荘」と名付け、「芸術の村」として開設されたということ。また「春風萬里」とは、北大路魯山人が好んで用いた造語だとか。
この芸術の村には、洋画家、日本画家、彫刻家、陶芸家、染織家などのアトリエが点在し、それぞれ制作に打ち込んでいるそうです。
現存する唯一の建物
記事によれば、魯山人ゆかりの住まいでは唯一現存する建物で、関係者は「恒久的に残したい」と決意する。ただ実現まで2年かかった工事の内幕を取材すると、国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産でもあるかやぶき屋根を維持する難しさが見えてきた。
さらに記事では、春風萬里荘は笠間日動美術館(同市笠間)の分館。江戸中期~後期の入り母屋造りの民家で、昭和の初めに魯山人が神奈川県の北鎌倉に移し、自らの住居として使っていた。1965年に日動画廊が笠間に移築し、72年から一般公開しているとのこと。
工事着工まで2年
今回ふき替え工事が行われたのは、北側の屋根約200平方メートル。2012年にふき替えたが、コケが生えるなど傷みが目立っていたそうです。
同美術館管理部長によると、かやぶき職人の手配が難しく、本格的に工事が始まったのは、依頼してから2年後の今年3月だったとか。更に3月末には、3人いた職人が1人減った。悪天候の日も重なり、その頃に見込んでいた完成はずれ込んだ。5月3日にふき替えが終わり、8日に足場を撤去した。
伝統建築工の激減
かやぶき屋根を含む「伝統建築工匠の技」は20年にユネスコ無形文化遺産に登録されたが、担い手確保は全国的な課題となっている。
かやぶき文化や技術の継承に取り組む一般社団法人「日本茅葺(かやぶ)き文化協会」(つくば市)によると、1995年には全国に約1300人の職人がいたが、約9割が60歳以上だったという。同協会は残りの約1割と、協会内の職人連合に所属する110人を合わせても、現在の職人数は200人弱とみている。
いやはや、私も言い続けていますが、本当に日本のモノづくりは危機的な状況に間違いありません。
上記にありました通り、伝統建築工の職人さんはすでに絶滅危惧種に指定されているに等しい状況ですが、歴史的建造物の維持管理もかなり危険な状況になってしまうかもしれません。
モノづくりには時間がかかる
同様に一般的な民間建築においても、その施工能力は全国的かつ急速に低下している状況です。
現状でも一部の工事では施工の順番待ちが発生していまして、どんなに大人の事情があったとしても、施主の希望するタイミングで施行されることが難しくなっています。
そこでは、同様の目的を違う施行方法や機器のメーカーを変更するなど、設計時の工夫も大切になってきますし、オーナー様のご理解とご協力も必要です。
建築について言えば、これまでの早い安い簡単というモノづくりは近々成り立たなくなることが予想されます。そして最低でも1年、状況によっては数年待ちのお引き渡しということなると思います。
まあ好きな車やファッション、推しのアーティストライブ、漫画の新刊、多くの吉報は待たされるものですし、ちょっと待つくらいが、有り難みを感じられるのではないでしょうか。
思い立ったら、まずはRCdeignまで、お気軽にご相談ください。