4月以降は隣家からはみ出してきた枝を切れるって本当? 民法改正で変わること
隣家からはみ出してきた木の枝を切り取ることができる–。4月1日施行の改正民法により、枝の切除に関するルールが大きく変わることになった。
これまでの民法のルールでは、土地の境界線を越えた木の根っこは切り取ることができるものの、枝の場合は木の所有者に切ってもらわなければならなかった。
2023年3月12日 10時4分 弁護士ドットコム
4月1日に民法が改正されます。
いよいよ民法改正の施行が迫って参りましたが、今回の改正ではこのお話しも話題になっていましたので、ここでおさらいをしておきましょう。
地方の農村部などでは全く関係の無いお話しかもしれませんが、こと東京都23区内に限れば、割とよくある話ではないでしょうか。
隣地からはみ出した枝とか。
私の自宅の数軒先でも、以前はお婆さんが一人で暮らされていた一戸建てがあって、現在は空き家になっているようなんです。そこのお庭になるミカンの木が大きくなって、隣地のお宅に越境しているようでした。
隣家の旦那さんによれば、昨年までは区役所に相談したり、相続されたご家族に連絡を取らせて頂き、剪定のお願いをしているとのことでした。ちょっとしたことでも意外と手間がかかるものなんですね。
また、記事にあった例では、ある女性は隣家に桜の木があるのを承知で引っ越してきたものの、枝から落ちてくるものが予想以上に多く憂鬱になっていると言うご相談。
「桜が開花してからは、敷地上にはみ出している枝からすさまじい数の花びら、毛虫、落ち葉、ガクが落ちてきました。苦情を言いたいのですが、桜の木が植えてあるのを承知で引っ越してきたためなかなか言い出せません」と言うことでした。
改正前の民法では・・・
それは、これまでの民法で改正される前は、竹木の所有者に請求して切ってもらうか(改正前民法233条1項)、自分で切るにしても竹木の所有者の同意を得なければならない、というルールになっていました。
このため、竹木の所有者を見つけることができない場合や、見つかっても切除しようとしない場合は、枝の切除請求訴訟を起こさなければなりませんでした。そして、裁判で勝った上で、強制執行の申立をし、竹木の所有者の費用負担で第三者に切除させるという代替執行という手続きをしなければなりませんでした。なんという面倒な手続きでしょう。
改正後の民法では・・・
これがようやく2023年4月1日から施行される改正法でも、まずは竹木の所有者に対して枝を切除するように求めるのが原則となっています(改正民法233条1項)。
が、切除が期待することができない次の3つのいずれかの場合に該当すれば、土地の所有者は、隣地から越境してきた枝を、自分で切除することができるとされているようです(改正民法233条3項)。
(1)土地の所有者が竹木の所有者に催告したにもかかわらず相当の期間内に枝の切除を行わない場合
(2)竹木の所有者を知ることができず、または所有者の所在を知ることができない場合
(3)急迫の事情がある場合
これはだいぶ緩和されたというか、これなら実際に迷惑を被っている人にとっては、早期解決の可能性を感じられるのではないでしょうか。
ちなみに⑴にあった「相当の期間」とはどの程度の期間かというと、記事にあった弁護士さんの記載では、枝を切除するために必要とされる期間であり、基本的に2週間程度と言われているそうです。
さらにもう一つ⑶にあった「急迫の事情」とはどのような場合かというと、例えば、台風などの災害により枝が折れて隣地に落下する危険が生じている場合や、地震により破損した建物の修繕工事で足場を組むために隣地から越境した枝を切り払う場合などが想定されるということでした。
記事にあった弁護士さんによれば、今回の改正による竹木の切除については、改正法が施行される前、つまり2023年3月31日以前から存在していた枝にも適用されるそうです。
切った枝は自分で処分
ここで一つ覚えておかなければいけないのが、この切った枝は誰が処分するのか、ということ。これに対して記事によれば、切った枝は改正民法233条3項に基づき、切除した人が所有権を取得することになり、取得する以上は、自分で処分しなければいけないということでした。
これからの季節、新芽が芽吹いてきて枝もグイグイ伸びてくる季節ですので、気づいたらお隣の枝が越境しているということがあるかもしれません。そんな時のために新しい民法を覚えておかれると良いと思います。
樹木の剪定や処分もお気軽にご相談ください。