東京都 AIZAWAとMITの「蓄電コンクリート」共同開発を支援
東京都が推進する「GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」において、會澤高圧コンクリート株式会社(本社:北海道苫小牧市、代表取締役社長:會澤 祥弘)と米マサチューセッツ工科大学(MIT)が共同で開発を進めている「蓄電コンクリート」がこのほど支援対象事業として採択され、8月20日、都の産業労働局より正式発表されました。
2025年8月20日 20時29分 共同通信PRワイヤー
コンクリートが面白い
これはまた少々マニアックな記事ですが、コンクリート住宅にこだわる私としては見逃せない内容ですので、取り上げさせていただきます。
まずは記事でも紹介されていた、會澤高圧コンクリート株式会社という会社さんがなかなか面白く、頑張っておられますので、もしかすると聞き覚えがある方もいらっしゃるかもしれません。
こちらの会社さん、Innovate・Challenge・Trustの理念のもと、コンクリートマテリアルと先端テクノロジーを掛け算して新たな企業価値の創造に取り組む総合コンクリートメーカーということで、以前にはバクテリアの代謝機能を活⽤してクラック(ひび割れ)を⾃ら修復する⾃⼰治癒コンクリート(Basilisk)の開発もされていて、こちらも話題になっていました。
東京都の支援事業
まず紹介されていたのは、東京都が推進する支援事業にこちらのコンクリートメーカーさんが採択されたということです。
この事業の正式名は「コンクリートを蓄電池に変える“蓄電コンクリート”を活用した分散型充放電インフラの開発と実証」というものです。
これに対して都は「電力をへらす、つくる、ためる」(HTT)のスローガンのもと、GX関連産業の創出を柱とする産業・環境政策に力を入れており、住宅分野を中心にインフラの要の素材であるコンクリートの蓄電池化技術の可能性を高く評価したとみられます。都は、向こう2か年の研究開発プログラムに対し、総額2億円を支援する予定です。とありました。
電気を無駄なく使うために
記事によれば、本事業は、建築材料として最も広く用いられるコンクリートに導電性を付与し、蓄電機能を持たせることで、建築物や都市インフラそのものをエネルギー貯蔵装置へと進化させる新たな社会基盤の創出を目指すものです。再生可能エネルギーの普及において課題とされる「発電と消費の時間的不一致」を解決する鍵として蓄電機能を都市構造体に組み込み、レジリエンス強化とGX推進に貢献してまいります。ということです。
急いで読むとちょっと理解し難いかもしれませんが、そもそも太陽光発電は晴れた昼間にしか発電しませんので、夜間の必要な時には役に立たないわけです。そこで必要になるのが蓄電池で、せっかく作った電気をしっかりと貯めておいておく必要があるわけです。
そこで、都市部に多く使われているコンクリートに蓄電させることができれば、街全体でエネルギーを貯蔵しておくことが出来るようになるということなんですね。
具体的な取り組み
記事では、今回の採択に伴い、当社は以下の3つの開発を柱に、東京都におけるGXモデルの実現に向けた実証的な取り組みを進めて参ります。とありました。
1. 標準蓄電モジュールの開発
2. 自由設計による蓄電ハウジング開発
3. 戸建住宅向け蓄電ユニットの開発
まずは基本的な標準とするモジュールの開発を先行して行い、そこから応用して可変性のある対応を行なっていくということのようです。
住宅まるごと蓄電池
そして最終的には、戸建住宅の床下に設置する専用蓄電ユニットを開発し、住宅ごとの再生可能エネルギーの蓄電と自家消費を可能にするモデルを構築します。東京都が推進する太陽光パネルの設置義務化により生まれる昼間の余剰電力を蓄え、夜間に活用することで、ノングリッド型の電力供給を都市部で実現します。
これにより、各家庭が蓄電池を自ら保有・運用できるようになり、停電時にも照明や通信、空調など最低限の生活機能を維持できます。結果として、戸別に防災対応力(レジリエンス)を高めることとなり、都市全体の電力インフラの強靭化にもつながります。
コンクリートがより一層人の役に立てるようになりますし、RC住宅にも応用出来るようになれば、より大容量の蓄電池とすることが期待出来ますので、ますます都市部でのRC住宅が注目されるようになるかもしれません。
RC住宅をご検討の際はお早めにお問い合わせください。