家づくり講座第542回
ようやく秋の気配が感じられるようになりましたが、台風が多くなっていたり、まだまだ日中は気温も上がりますので、体調管理には気をつけたいですね。それでは土曜日恒例の家づくり講座第542回をお届けいたします。どうぞお付き合いください。
洗面所の窓について
さて、今日は洗面所の窓についてです。
洗面所の窓の位置を決めるのって、簡単なようで意外と難しいんです。西に設けると、夏は西日が差す時間と入浴時間が重なるかもしれません。眩しいのと暑いのとで、入浴後も苦労しそうですね。
洗濯機の奥に設けると、手が届かなくて開閉や掃除ができなくなるかもしれません。
脚立などの足場が無いと開閉できないほど高い場所に設けると、若いうちならまだしも、高齢になると怖くて開閉できないかもしれません。
窓の目的は
「採光と換気が目的だったのに採光しかできない。こうなると分かっていたら、脱衣所にも換気扇を設けたのに」という後悔の声も聞かれます。
それなら、開閉しやすい高さにしてみるのはどうでしょう?
確かに利便性は良くなりますが、外からシルエットが見える恐れがあります。洗面所の窓が道路に面していたり、すぐ近くに隣家がある場合、視線が気になって落ち着かないかもしれません。
位置だけでなく、窓の種類によっても使い勝手が変わります。
窓は開けません
今時の住宅なら、24時間換気が設けられていますので、基本的に窓を開ける必要はありません。したがって窓の開閉を諦め、採光目的だけの『FIX窓(はめ殺し窓)』にしても、換気を気にする必要はありません。
昭和の時代にちょっと流行った『ルーバー窓』に憧れている人がたまにいらっしゃいます。ハンドルを回すだけで開閉でき、ハンドルは中央より少し下にあるので、多少高い場所にあっても操作しやすく、ガラスの角度を調整すれば、視線を遮りながら換気できました。
しかし、それぞれのガラス(羽)はドライバーで簡単に外せるので、面格子を付けるなどの防犯対策が欠かせず、また他の窓より断熱性も劣るので、防犯と省エネを考えると使えないと言えるでしょう。
防犯も考えると
『引き違い窓』や『上げ下げ窓』にすれば防犯性は多少高まります。しかし、ある程度の面積が必要なので、狭い場所には不向きかもしれません。また、視線を遮ることができないので、そのための対策も必要でしょう。
窓の種類はほかにもありますが、それぞれに一長一短があります。
建築士に相談を
窓に求められる機能や性能は多いのですが、一方で供給されるサッシは製作に限界もありますので、好きな形が出来るとは限りません。
実際に生活をしてみますと、全部の窓を開け閉めすることは少なく、高価なサッシではなくはめ殺しで良かったということも多いものです。
窓として使える広さや方角、隣家との距離、隣接する道路の有無、防犯性や断熱性など、さまざまなことを考慮して、後悔の無い窓づくりを追求したいですね。