害虫の駆除依頼で高額請求、都内で相談が急増「水まわり修理」と手口が酷似
家にゴキブリやダニ、ムカデなどが出た場合、どうしているだろうか?「害虫の駆除を請け負う事業者」に依頼することもあるだろうが、今、都内ではこの害虫駆除に関する相談が急増している。
東京都消費生活総合センターによると、東京都内の消費生活センターに寄せられた、こうした害虫駆除(シロアリを除く)に関する相談件数は、2018年度~20年度は100件台が続いていたが、21年度(235件)と22年度(225件)は200件台、そして23年度(10月末までの速報値)は急激に増え、338件に上っているというのだ。
2023年12月4日 13時30分 FNNプライムオンライン
悪知惠は柔軟です
世の中は変化しているところも多いのですが、なかなか変わらない部分もあって、悪知恵の働く人は減らずにしっかりと時代の変化に対応しているようです。
今ネットで標的にされているのは、比較的若い年代であまり免疫のない人達なのかもしれません。
具体的には「害虫駆除を請け負う業者の『○○○円~』『追加料金なし』などのネット広告を見て、安いと思い依頼したところ、想定より高額な請求を受けた」という相談で、以下が記事にあった具体的な相談の事例です。
ゴキブリ退治で15万円!?
ーーーここからーーー
夜中にゴキブリが出たので、慌ててインターネットで駆除業者を検索し、24時間対応で「550円~」と広告している事業者に電話をして来てもらった。
来訪した作業員から、薬剤噴霧や駆除後の再発防止作業などで約15万円になると言われ、高額で戸惑ったが、今更帰ってもらうわけにもいかないと思い仕方なくお願いした。
作業終了後、代金はクレジットカードで支払ったが、こんなに高額になると思わなかったので納得できない。(20代 女性)
ーーーここまでーーー
なんとも酷い話です。
20代の女性にもこれはかなり大きな金額だと思いますが、それにしてもその金額の妥当性くらいはその場で判断して、断る勇気が欲しかったですね。
背景と対処法
記事では、東京都消費生活総合センターの担当者に「背景と対処法」を聞いていましたので、参考に見ておきましょう。
――格安をうたう「害虫駆除業者」に関する相談はいつから増えている?
2021年頃から増加してきていますが、「格安の広告を見て、依頼したら高額な請求を受けた」という相談が増加したのは昨年(2022年)の秋頃からです。
――このような相談が増えている背景は?
2022年度、2023年度あたりから、「○○○円~」「追加料金なし」などと格安をうたい、ゴキブリやダニ、ムカデなど害虫駆除を請け負う業者のWebサイトが増えたからだと思います。
相談者の傾向
――相談を寄せてくる人に傾向はある?
2023年度は10代~30代の相談が多く、20歳未満が26件、20歳代が117件、30歳代が64件です。10代~30代は、ほとんどがゴキブリの駆除に関する相談です。
2018年度、2019年度はゴキブリの駆除はほぼなく、ハチやネズミの駆除だったのですが、2023年度ではゴキブリ駆除をうたう事業者とのトラブル相談が増えています。
――ゴキブリ駆除に関する相談が増えている理由は?
10代、20代は9割以上がゴキブリ駆除をうたう事業者とのトラブル相談なので、10代、20代でゴキブリを自分で駆除した経験がない人がいるのかもしれません。家の中にゴキブリが出たら、ネット検索して、害虫駆除の業者にたどり着いてしまっていると考えられます。
――男女別では女性の方が多い?
全体の傾向としては女性からの相談が多く、だいたい「男1:女3」の割合です。
水まわりと同様の手口
――今の状況をどのように受け止めている?
格安の料金を提示して、訪問すると、急に高い料金を請求するというトラブルは、これまで、「水まわりの修理」で起きていました。それと同様の方法・手口で「害虫駆除」を請け負う事業者が出てきていると感じています。
対処法など
――トラブルを避けるためには、どのようなことに気をつければいいの?
トラブルを避けるためには、最初に連絡した際に、必ず作業内容や見積額、出張費、キャンセル料などを確認しましょう。「金額は現地を見ないと分からない」などと言われても大体の相場を聞きましょう。
作業員が来訪した際も、作業前に見積書をもらい、必ず作業内容と代金の根拠等を確認し、納得ができない場合は断る勇気も必要です。また、追加の作業を提案された場合も、今すぐ行う必要があるか、よく考えて判断しましょう。
――トラブルにあってしまったら、どのように対処すればいい?
業者が訪問した後に、広告の表示額や事前に聞いた金額とかけ離れた高額な請求をされた場合、訪問販売に該当し、クーリング・オフができる可能性もあります。料金や作業内容に納得できない場合は、その場で支払うのは避け、すぐに最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
その場での支払いを断った際の業者の態度に不安を感じたら、後日振込みかクレジットカード払いにしておくと良いと思います。
とにかく慌てず冷静に
以上が記事にあった背景と対処法です。中でもビックリしたのは「10代、20代でゴキブリを自分で駆除した経験がない人がいる」というところ。もちろん遭遇しないに越したことはありませんが、日本に暮らす以上は、避けきれないところもあるかと思います。
また、「水まわりの修理と害虫駆除のトラブルは酷似している」という点も何か犯罪に関する共通点があるのかわかりませんが、やはりもう少し世の中の仕組みを学んでおく必要があるように思います。
とにかく、突然現れたゴキブリなどに驚き、慌てて駆除業者を探すのではなく、普段から、設置型の罠を置いたり、市販の殺虫剤などを準備しておくと安心ですし、特に1人暮らしの場合、夜中に見知らぬ駆除業者を呼ぶほどの必要性があるか、冷静に考えましょう。
また、家全体の害虫駆除を行いたい場合も、複数の業者に見積もりを依頼し、作業内容や代金を確認してから判断しましょう。
いつの時代も「格安」をうたうモノやサービスでは、何らかの理由があってそのキーワードを使用しています。品質や時間、何を削ってコストダウンを実現しているのか、なぜ継続出来ているのかを想像するくらいはして欲しいですね。