「日本の恥さらし」大阪万博344億円木造リング、伝統的貫工法のはずが「釘もボルトも活用」…吉村知事らの「弁明」に呆れ声
大阪・関西万博の開幕まで500日を切っても、木造「リング」(大屋根)への批判が収まる様子はない。
建設費は約344億円。リングで使用する木材は約2万立法メートルで、幅30メートル、高さ12~20メートル。会場中心部を取り囲み、1周2キロで来場者は屋根の上と下を回遊できる。完成すれば「世界最大級の木造建築物」となることが売りだ。
2023年12月7日 16時20分 Smart FLASH
関西が盛り上がった年
今年はプロ野球を始めとして関西地方に注目が集まることも多かったのではないでしょうか。
私のような関東の東京の一部でのみ活動をしている身では、なかなか関西地方の皆さんの盛り上がりを感じることが出来ていません。
しかしながら、大阪万博に関してはその会場建設についての情報がいろいろと伝えられていますので、業界内でも何かと話題になっていました。
まだまだ来年には建築資材や職人さんを多く必要とされそうですので、少なからず全国的にも影響が出るかもしれません。
大屋根(リング)が話題です
まず記事にあった大屋根(リング)は、大阪・関西万博会場デザインプロデューサーで建築家の藤本壮介氏によりデザインされた、「多様でありながら、ひとつ」という本万博の理念を表す大阪・関西万博のシンボルとなる建築物ということ。
著名人のアピール
記事ではこのリングについて、日本維新の会の創設者で弁護士の橋下徹氏は11月17日、自身の「X」(旧Twitter)でこうアピールしている。
《万博リング。京都清水寺の舞台と同じ懸造り。釘を一切使わないあの工法。清水の舞台は高さ13メートル。万博リングもその高さに匹敵し、規模は清水の舞台よりもはるかに大きい清水寺の舞台には今も連日多くの国内外観光客が訪れている。日本人の多くの人が一度は訪れているはず。
それほど清水の舞台は人を惹きつける力のある木造建築物。万博会場地は海上埋立地で海抜10メートル。そこに清水の舞台よりもはるかに大きな木造舞台が姿を現す。四方は関西の海に山に大都会。清水寺の舞台に負けないくらいの体験ができると思う。》
さらに大阪府の吉村洋文知事も、11月16日、リングをこうアピールしたそうです。
「日本の木材建築技術ってすごくて、清水の舞台ってあるじゃないですか。あれは貫(ぬき)工法といって、釘を使わないのに耐震性がすごく強い芸術的な作り方。これと同じ工法で(リングは)作られています」
伝統工法ではありません。
ところが、衆院予算委員会で議員がこの点を追及していて、「日本の伝統工法だと言われてますが、釘は使ってないけど、ボルトやナット使ったりしてますね?」という質問をしていました。
これに経産省の審議官が「日本の伝統的な貫工法という方法を使いますが、一部、釘もボルト等も活用はいたします」と答えたところ、質問した議員は「伝統工法を模したもの。鉄を使ったりボルトやナット使ったものは、伝統工法と言いません」とバッサリ切り捨てたそうです。
まあ記事の内容がなんであれ、日本の建築技術に注目が集まるのは良いことだと思います。国会議員や知事が建築工法を少しでも勉強して語られることが、国民の考える機会になれば良しとしましょう。
そのコストと再利用について
しかし、このリングは184日間の会期が終わると解体されるのに建設費がバカ高い(約344億円)ことは以前から指摘されていて、最近は万博終了後も保存するか、別の場所に移設するか、または解体して木材を再利用するか、などの検討がされているとか。
実はこのリングを木造にする案が決まってからも、無垢の大径木材は諦めて、構造用集成材を使うことになったそうですが、国産だけでは無理ということも後からわかったということ。
この必要な約2万立方メートルは、国産の構造用集成材の年間供給量の6割を占める量で、生産力の点からも厳しいということで、柱には主にフィンランドのアカマツ材による集成材が多く使われることになったそうです。
さらに、閉幕後にはこれを解体し木材を売却する方針だったそうですが、一度建築に使用した木材の再利用は、言うほど簡単なことではありません。これまで住んでいた木造住宅を解体して建て替えをする時など、既存の住宅で使っていた木材の使える部分は意外なほど少ないものなんです。
木材を使用すればエコという先入観を植え付けられている日本人は何の疑問も持たないかもしれませんが、これまでも日本では安い木材を求めて世界中の森林を破壊して輸入してきましたので、国産の無垢材がどれだけ非現実的かは、ちょっと勉強すればわかると思うんですけど。
持続可能を目指すなら
記事にあったSNSの声では、《日本の技術やがんばっている職人さん達の信用を落とすだけになりそうだから、こういうのマジでやめてほしい 何もかも杜撰すぎだろ》と、とても真っ当なご意見がありました。
経済効果はもちろん大切ですが、ほんの一時のアピールのために大切な資源と国民の血税を無駄に使われているように感じてしまうのは、私だけではないでしょう。
これだけ大きなイベントですので、多くの大人の事情が絡み合っていることと想像しますが、持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献と言うことには、間違いなくなっていないと思います。
RC住宅を是非ご検討ください。