阪神大震災29年 家屋倒壊や火災の怖さ再び
6434人が犠牲になった阪神大震災から29年となった。
家屋の倒壊や火災など、能登半島地震と重なる教訓も多い。改めて地震への備えを点検する機会としたい。
神戸市などが主催する追悼行事の会場には、灯籠を並べて「ともに」という文字が描かれた。能登半島地震からの復興に向け、共に歩む決意を込めたという。
2024年1月17日 5時0分 読売新聞オンライン
ターニングポイント
少々信じられない感じもいたしますが、29年が経過したのですね。
阪神大震災は、まさに私の建築士人生を方向付けた出来事で、それまでは木造住宅や鉄骨造倉庫なども設計・施工を行っていましたが、震災の状況が明らかになりその後の法改正が進む中で、日本には木造住宅が適さないということに気付きました。
では一体どのような家を造っていけばいいのか、研究を重ねた結果辿り着いたのがRC(鉄筋コンクリート)住宅でした。私と共に日本の建築業界にとってもターニングポイントとなったと思います。
当初はRC住宅の欠点である価格の高さと結露の対策に悩みましたが、その課題をクリアすることが出来てから、以前よりも高性能でありながらコストダウンを実現したRC住宅を提供出来るようになりました。
とは言え、まだまだ力不足で供給量は決して多くはない状況で、ご検討くださるお客様にはご迷惑をお掛けしていることもあり、より一層の努力を続けているところです。
災害対策の進化
記事にもありましたが、阪神大震災を機に、国や自治体の危機管理体制が見直され、地震に強い街づくりや、被災者支援の充実などが進められたのはそのとおりなのですが、それでも尚今回のような被害が発生してしまっています。
阪神大震災では、犠牲者の8割は家屋の倒壊が原因だったため、それ以降、国や自治体は建物の耐震化を促してきましたので、データ上では現在住宅全体の9割近くが1981年に導入された新耐震基準を満たしているということになっています。
建物の耐震性能をはじめとして、阪神大震災は今の災害対策の基礎となっていると言っても間違いないでしょう。
耐震化が進んでいない
しかし今回、多くの家屋が倒壊した石川県輪島市や珠洲市は、耐震化率が5割にとどまっていたということがわかってきました。その要因となっていたのは、いずれも高齢化が進む地域で、建て替えなどに二の足を踏む人が少なくなかったということです。
また、残念ながら耐震基準を満たす木造建物でも多くの被害が確認されているようです。現地では3年前からの群発地震で、建物にダメージが蓄積していた可能性があると言われていて、過去に強い揺れに見舞われた地域の建物は、強度が落ちていることが考えられるようです。
木造密集地域も未整備
さらに、輪島市で発生した火災は、木造住宅密集地の危険性を改めて示すことになってしまいました。記事にも書かれていましたが、国は阪神大震災以降、延焼のリスクなどから特に危険な地域を公表し、解消を後押ししてきたが、輪島市の火災発生現場はこうした地域に含まれていなかったということです。
記事によれば、火災のリスクを抱えながら、解消の取り組みが進んでいない木密地域は全国にある。と書かれていました。
自治体は、こうした地域を再点検し、空き家の撤去などにも取り組むべきだ。火の回りを防ぐため、公園や道路などの空間を確保することも重要だろう。とも。
各町会ブロックごとや何件かに一つ、RC住宅が建っているだけで、そこで延焼が止めることが出来るのです。
もう一つ防災という点では、石川県の地域防災計画は、これほどの被害を想定しておらず、食料や水の備蓄はすぐに枯渇してしまったそうです。
災害に強い家を建て、その数を増やせば街全体が災害に強くなります。きっと孫世代に喜ばれるに違いありません。RC住宅を是非ご検討ください。