「切り株の年輪、幅の広い方が南側」は間違い!? 農学博士の発信に「信じ込んで50年」「ボーイスカウトで習った」
「切り株の年輪、幅の広い方が南側」という話、聞いたり、読んだりしたことありませんか? コレ、まったくの間違った情報です。
しかし、長い間、語り継がれてきたのも事実。ウッドエンジニアリングを研究する農学博士で京都大学生存圏研究所特任教授・秋田県立大学名誉教授の林知行さんは、「間違い知識の拡大生産をなんとしても避けたい」との思いから「年輪と方角の幅はまったく関係がない」ことをたびたびSNSで発信しています。
2023年6月13日 6時55分 まいどなニュース
古い常識
これはさぞかしショックを受けられた人が多いに違いありません。
というのも、そういう私も50年以上間違った知識を大切に信じていたからで、年輪を見れば方角がわかるということを盲目的に信用してしまっていましたことを、反省しています。
でも間違いなく昭和の時代ではこの情報が広く伝えられていましたので、多くの男性諸氏の皆さんでは、年輪から方角を推測したことがあるのではないでしょうか。
実際に年輪を見てみると、微妙に南とズレていたりしたものですが、そんな時はこれが自然の良いところだと納得してみたり、日当たりの問題かなどと言い訳を考えてみたりしていました。
正しい情報に更新
記事によれば、年輪と方角については、記事を書かれていた教授さん自身も間違い情報を信じていたそうですが、実は年輪幅に広い狭いが生じるのは樹の幹の傾き(傾斜)や根が張っている土地の傾き(傾斜)、樹体の重心の偏りなどさまざまな理由からで、年輪と方角にはなんの関係もないという事実を聞いた時は、ショックを受けたそうです。
教授さんのように正しい情報を手に入れる人もいますが、大半の人はそれを信じたまま大人に。子どもに「切り株の断面を見てごらん、年輪の幅の広い方が南なんだよ」と教えるのもありえることですね。
「誰が、いつから、この間違った情報を言い始めたのかはわかりません。子ども向けの本や図鑑などに書かれ、あるいは学校で教えられ、広まってしまったのだと思います」。
実際に、図書館で図鑑や本を見ると、古い版のなかには「年輪・方角説」を説くものもあるそうで、増刷のタイミングで改訂しているようですが、子供向けの本に珍説が多いことに苦言を呈しますと書かれていました。
木に関する知識
この教授さんが、SNSや講演活動などで熱心に木や木材に関する正しい知識の伝達に取り組むようになったのは阪神淡路大震災がきっかけだそうです。大工さんや、建築士さんら木材に携わる人が、木に関する誤った知識に侵されたまま住宅づくりを行っていることに危機感を抱いたからだそうです。
これは非常に残念なお話ですが、しかしながら今の大工さんやましてや設計担当さんでは、木に関する知識を持ち合わせている人はほとんどいないのではないでしょうか。
木を伐るということ
さらに教授が言うには、今、気にかかっているのは学生たちの樹木への誤った知識。「学生の多くは、中学高校で“木を伐って使うのは環境破壊だ”と教えられています。そのことのほうが、はるかに大きな問題。授業で、“そうじゃないんだよ。上手に木を植え、上手に木を伐り、そして上手に木を使うことが、地球環境の保全につながる”と理論立てて教えると、たいていビックリします」と。
そうですね、地球の健康的な使用状況という点では、森林の新陳代謝を促し、日本の唯一の資源である木材を如何に使うか、というところが重要になりますね。
構造には使わない
木材を構造躯体に使ってはいけません。各部の仕上げ材料として使用したり、家具として使うことなどを考える必要があります。
言い伝えや都市伝説に惑わされませんよう、事実を見極めて正しい選択をしてください。
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