家づくり講座第538回
酷暑お見舞い申し上げます。とにかく無理をせず涼しくしてお過ごしください。それでは土曜日恒例の家づくり講座第538回をお届けいたします。どうぞお付き合いください。
転勤などで一時的に使わない場合
さて、世の中にはせっかく新築したのに、転勤や介護などの理由で家族全員で引っ越す方がいます。
数年経てば新居に戻れるとわかっているので、新居を売却するつもりはありません。しかし、無人の家は傷みやすく防犯も心配。
留守中も住宅ローンは払わないといけないので、精神的にも経済的にも負担は大きいものです。
定期借家制度
そんな負担を和らげる方法の一つに『定期借家制度』があります。
定期借家制度とは、その名の通り、一定の期間だけ賃貸契約を結べる制度です。
自動更新は無く、契約時に定めた期日に到達したら契約は終了します。
普通の借家契約のように法定更新の義務は無いので、借主に居座られる心配もありません。
万が一、正当な理由なく居座られた場合は、損害賠償を請求する事もできます。もちろん、貸主と借主の合意があれば再契約はできます。1年未満の短期契約も可能です。
知らない人が多い制度
国交省が毎年行っている『住宅市場動向調査』によると、定期借家制度の内容まで知っている人は、平成25年度は14.5%、平成29年度でも17.2%と、毎年2割に満たない状況が続いています。
手続きが煩雑なのがその一因だと言われていますが、一般の方が不在の間だけ貸す場合、大々的に広告することは少ないでしょうから、そんな事情もあるのかもしれませんね。
この制度は、「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」に基づき、優良な賃貸が供給されやすくなることを目的として平成12年3月に導入されました。
もしかしたら、将来あなたも「転勤で留守にする間だけ自宅を貸したい」「年を重ねて維持管理が難しくなったので、とりあえず1年だけ貸して、その間に今後のことを検討したい」といったことがあるかもしれません。
そんな時は、ぜひこの制度を思い出してください。
賃貸経営でも強い味方
実はこの定期借家は、賃貸経営をされる際にも強い味方になるんですね。一部不動産業者さんの中には面倒だからやりたくないという業者さんもいらっしゃるようですが、オーナーを守るにはこの方法しか無いというくらい大切な制度です。
賃貸併用住宅や投資用賃貸住宅をご検討の方も是非覚えておいてくださいね。