「大工が足りない」住宅業界の人手不足深刻 「建設業の2024年問題」も重なり…家を建てたくても、建てる人がいなくなる?
住宅建設業界の人手不足が深刻化している。若者のなり手希望者が減少し、技能者の高齢化が進んでいることが大きな要因だ。
特に大工の不足状況は激しい。2024年度からは残業規制が強化されることもあり、このままでは家を建てたくても、建てる人がいないという厳しい状況に陥る可能性がある。
2023年8月25日 11時45分 J-CAST会社ウォッチ
私の実家
なかなかコアな話題を取り上げて頂き、大変ありがたいと思います。
実は弊社の生い立ちとして、創業当初は大工工事のみを請け負う専門工事業者から始まっています。その頃は私の父が社長兼親方でしたので、出稼ぎの方や見習いの若い衆などが住み込みで一緒に暮らしていました。
夕食の時は家族以外の職人さん達も大勢いたりして、賑やかな食事時間でした。今は本当に良い思い出ですが、その後時代が昭和から平成になった頃から、職人になりたいという人が急激に減り始めましたね。
職人の雇用と育成
弊社ではその頃から職人さんの求人募集を行っていますが、今言われている危機感はその当時から変わっていないように思います。
当時から職人さんの保護と育成を真剣に取り組まないといけないとか、欧州などを見習ってマイスター制度を創設して欲しいとか、結構いろんなところでお話ししてきましたが、改善されることはありませんでした。
弊社では創業時から大工さんを直接雇用し続けていますが、もう30年以上前から人材不足の現実と危機感を感じていましたので、少しでも自社で出来ることとして、大工さんの雇用を続けながら、技能実習生の採用なども行いながら、技術の継承に取り組んでいるところです。
2024年問題
さて、記事にもあったとおり、トラックなど物流業界の「2024年問題」が話題ですが、住宅・リフォームを含む建設業界も同じだということ。働き方改革の関連法改正によって時間外労働の上限が2024年4月から強化されるということ。
この改正法に違反した場合は、6か月以下の懲役と30万円以下の罰金が科されるとか。悪質な場合は企業名の公表もあり得るため、建設業でも「2024年問題」と呼ばれるそうです。
これまでの人口減少や少子高齢化に残業規制が加わり、多くの業界で働き手不足が問題化しているわけですが、実は住宅建設業界は一段と深刻なんですね。
大工さんが激減します
記事によれば、総務省が行っている国勢調査で、住宅建設の技能者は1985年には約167万人にのぼったが、2000年代以降は減少し、2010年には103万人、20年には約82万人と、その数は急速に減少しています。
そんな中で特に減少が著しいのが大工さんということ。1985年には約81万人だったのが、2010年には40万人と半減し、20年には約30万人まで落ち込んでしまっています。
そこで、記事によれば野村総合研究所が今後の予測値を出していて、それによると大工の数はこの先も減少を続け、30年には約20万人、40年には約13万人になる見込みだということですので、現在の大工の半数以下しかいないことになりそうです。
親方だけでは無理
記事にも書かれていましたが、かつては「親方」と呼ばれる熟練の大工が若い弟子を多数抱えて技術を伝えてきたが、熟練の大工がどんどん減っていることや、経済的に苦しくてたくさんの弟子を持てないケースも多く、若い人材を育てる環境が悪化しているとされるということ。
一般の方から見れば、人口減少などで日本の新築住宅の着工件数も減少傾向にあり、価格の低下を期待したり、技能者が減っても影響はそれほど大きくないのではないか、と思われるかもしれません。
順番待ちでコストアップ
が、野村総研の予測によれば2040年の新築住宅着工件数は、2010年の実績値に比べ3割強減少するのに対し、大工などの技能者は約5割も減ると見込まれ、「技能者は着工件数を上回るペースで減少する」と見られています。
ということは、この先どんなに景気が悪くなって建築の仕事が減ったとしても、それ以上に、実際にものづくりをする職人さんの数が減ってしまうスピードの方が早いとすると、職人さんの順番待ちということになりますので、そこでのコストダウンは期待しないでください。
住宅難民と技術継承
工場生産で同じ仕様の製品を大量に作るという方法で建てた家でよければ、それもありかもしれません。しかし、より安全で快適、オリジナルのライフスタイルを実現する家を建てるには、それを実現する技術者、職人さんが必要です。
記事に書かれていたのは、このままの状況が続けば、住まい探しに困窮する「住宅難民」も発生しかねないというのが現状だという認識と、同時に「若い世代に関心を持ってもらう取り組みが早急に必要だ」(業界関係者)との声が高まっているとのことでした。
弊社では、引き続き大工さんの保護育成を行いまして、大切な技術の継承を続けて参る所存です。もし少しでもお力添えを賜りましたら大変嬉しいです。建築に関するご相談は弊社RCdesignまでお気軽にお問い合わせください。
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