「ラブホテルみたいに丸見えですよ」ガラスで仕切られたナゾの浴槽、冬は極寒…実際に住んでわかった「デザイナーズマンション」暮らしのリアル
オシャレな外観や凝った内装が魅力のデザイナーズ物件。一見すると都会的で目を引くが、デザイン優先のために居住性が損なわれているケースもある。
そこで、実際にデザイナーズ物件に入居したことのある人たちに、住み心地を聞いてみた。
2023年11月28日 17時0分 文春オンライン
デザイナーズマンション
デザイナーズマンションって言うキーワードもどうかと思いますが、いまだにそういうジャンルがあるのも確かで、不動産業界の停滞ぶりがうかがえる一面のようにも思います。
きっとなんでもそうだと思いますが、その形には理由があるはずで、同じ用途なら少しでも考えられたデザインであって欲しいと思いますし、それが自分の感性とリンクするものだったら楽しくなるはずです。
しかし、こと住宅に関して言えば、そこは人の暮らしを支える場所ですので、安全と健康を犠牲にしてはいけませんし、さらに今後求められるのはより快適でより省エネな暮らしが実現出来ることです。
20年以上前から感じていた違和感は、弊社にて設計施工させていただいた建物がデザイナーズマンションとして告知されていることでした。もちろんデザインも頑張りますが、同等に性能の向上にも力を入れてきましたので、居住性が損なわれているようなデザイナーズマンションと同じ括りにされるのがいやだったのですね。
被害例
記事で紹介されていたケースでは、一応書類上は113平米3LDK。構造は地上2階、地下1階という物件。1階は玄関の横にお風呂とトイレで、奥に1部屋。2階は2部屋あって、ひとつは屋根のない外廊下を通らなければ行けないという謎のつくり。地下にリビングとキッチンがあります
その中で書かれていたのは、この物件の特徴ともいえるのが地下から2階までの吹き抜けと螺旋階段。見るからに使い勝手は悪そうだが……。
「引っ越しのときは、大きな家具が入らなくて困りました。チェストは一度分解してから搬入したし、地下に置いてあるソファーも螺旋階段を通すことができなくて、吹き抜けのスペースを使ってひもで吊り下げて降ろしてもらいました。荷物はそんなに多くなかったはずなのに、なんだかんだで引っ越し代は30万ぐらいかかりました。」とか。
危険
さらに、借りるときに『小学生より小さいお子様がいる世帯には危ないから貸せません』という条件が付いていたんですよね。この吹き抜けと螺旋階段の上り下りが子どもには危ないという理由ではないのかなと。
そこではしっかり猫たちが2階から地下1階まで落ちてしまったことがありました。ガラス張りの壁がわからなかったみたいで、ピョンって部屋に飛ぼうとしてガラスにぶつかり、そのまま地下まで落下したんです。ヒヤッとしましたが幸い上手く着地してくれて、ケガはなかったそうです。
光熱費も
他にも、「やっぱり夏は暑くて、冬は寒いことですかね。夏場だと冷たい空気が下に行って、地下のリビングは涼しいけど、2階はかなり熱がこもってしまいます。冬場はもっと大変でなかなか温まらない。地下のリビングに床暖房がついているんですけど、つけっぱなしにしちゃうと光熱費が大変なことになるんです。普段は3~4万円くらいのところ、1月の光熱費は9万4000円でしたから」と書かれていました。
お掃除も
また、これだけの広さと特殊な間取りは掃除も大変だったそうです。以前はお掃除ロボットを2台動かしていたんですが、部屋の形が変わっているせいか、どれだけやっても部屋の間取りを認識してくれず、全然動かなくなってしまいました、とか。
他のケースでは窓の大きな物件で、ほぼ壁一面が窓で既製のカーテンがないんですよ。入ったときはカーテンくらい買えばいいかと思ったんですけど、オーダーメイドで作ったら、たしか40万円くらいかかった。というケースも書かれていました。
入居者の暮らしをより良く
そんな経験をされた方たちの多くは、結局冬場のあまりの寒さに耐えられず、別のマンションに部屋を借りたということ。
賃貸マンションを考えるとき、デザインはもちろん大切ですし、同様に建築コストも守らなければいけません。しかし、そこに入居して暮らされる人のメリットがなければ、家賃を払って長く住むことはないでしょう。
弊社では、オーナー様はもちろん入居者さんにもメリットがあり、喜んでいただけるマンションをご提案するようにしています。