結局エアコンは何℃が正解? 節電と快適性を両立するベストな使い方とは【家電のプロが解説】
ゴールデンウィーク明け頃から暑さが本格的になり、エアコンを使う機会が増えたという人も多いことでしょう。しかし、電気料金値上げの影響もあり、できるだけエアコンをオフにしたり、設定温度を上げたりと、電気代を抑えようと考えている人も多いのではないでしょうか。
そこで気になるのが、「エアコンの温度設定は何℃がベストなのか?」ということ。
2023年6月30日 21時15分 All About
プロのアドバイス
記事では家電のプロさんが解説してくれていましたが、ここからは建築のプロとして、私からもアドバイスをさせて頂きたいと思います。
まず最初にお伝えしておきたいのですが、これまでの暮らし方を一旦忘れてゼロにしてください。まだまだ日本人の多くは昭和以前からの暮らし方を脈々と続けている方も多かったりします。
すでに時代は大きく変化している中、室温をコントロールしない、または出来ないという環境は許されませんし、なんら贅沢な事ではなく、健康を管理する上では当然適正な環境を維持されなくてはいけません。
日本の環境では
過酷な自然環境の日本では、厳しい寒さの冬とこれまた厳しい暑さの夏が、今まで以上に長期間化していますし、そのレベルもどんどん上がっている状況です。
自然環境がこれだけ変化していますので、それ相応の対策を行わなければ、人間の生命と健康を守ることが出来ない状況だという事です。
28℃は間違い
記事にあったエアコン温度の正解は?という記載では、環境省が地球温暖化対策のため、過度な冷房に頼らずに快適に過ごせる軽装や取り組みを促すライフスタイルである「COOLBIZ(クールビズ)」を2005年から推進していますが、その中で適正な室温の目安として「28℃」が設定されたということ。
さらに「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令」や労働安全衛生法の「事務所衛生基準規則」では「室温18~28℃、相対湿度40~70%、室内の気流は毎秒0.5m以下」と定められており、クールビズの「28℃」はこれらにもとづいています。
しかし、いつもお伝えしている通り、これは「エアコンの温度設定を28℃にしましょう」ということではありません。あくまでも部屋の温度、室温の上限としての目安なだけです。
冬の室温は19℃以上に
記事にもありましたが、外気温や湿度、日当たりなどさまざまな状況によって体感温度は異なるため、室内にいる人の体調などに考慮しながら無理のない範囲で室温を管理しなければいけません。実際に28℃設定では安全と快適を得ることは難しいでしょう。
一方で、冬季の温暖化対策としては「WARMBIZ(ウォームビズ)」が推奨されていますが、これについて環境省は「暖房時の室温を20℃(目安)で快適に過ごすライフスタイル」としています。
政府では率先した取組を自ら実施するために暖房中の室温は「19℃を目途に過度にならないように適切に調整に努める」こととする方針を定めており、地方公共団体にも同様の取り組みを行うように協力を要請しているとのことです。
正解はありません
記事にあったこれらの取り組みを総合すると、一つの目安は以下の通りになります。
●夏の冷房の設定温度は「28℃」
●冬の暖房の設定温度は「20℃」
ただし、これは先ほども述べたように、あくまでも「目安」ですので、この温度を守る必要は全くありません。ちなみに現在の我が家は26℃設定です。
何度もお伝えしていますが、体感温度は「代謝量」「着衣量」「気温」「熱放射」「風(気流)」「湿度」の6要素によって変化するといわれています。
同じ室温でも湿度を下げると「不快指数」が低下します。快適に過ごすには湿度のほかに「風」も重要で、風速が毎秒1m増えると体感温度が1℃下がるといわれています。
弊社のオーナー様にはお伝えしているんですけど、必ずお部屋には温湿度計を置いてください。今なら100均でも手に入りますので、この温湿度計の数字で管理してください。
その上で扇風機やサーキュレーターを組み合わせて快適な室内環境を作ることをオススメしていますが、その大前提が住まいの高気密高断熱という性能なんですね。
快適な暮らしを実現するなら、是非RC住宅をご検討ください。